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  1. 富山県議会 2022-06-01
    令和4年6月定例会 一般質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  午前10時00分開議 ◯議長(渡辺守人君)おはようございます。ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑 2 ◯議長(渡辺守人君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第81号から議案第87号まで及び報告第5号から報告第14号までを議題といたします。  これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  通告がありますので、順次発言を許します。  井上学君。    〔18番井上 学君登壇〕 3 ◯18番(井上 学君)おはようございます。自民党議員会の井上学でございます。一般質問のトップバッターを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  今日は分割質問で大きく3項目に分けて質問をしてまいりたいと思います。早速質問に入りたいと思います。  最初の項目は、地方創生に向けて5問伺います。  まず、国際交流について伺います。  先月の知事の定例記者会見で、この夏、アメリカ・オレゴン州へ友好訪問団を派遣されることが発表されました。これまでコロナ禍で海外渡航も難しかったわけですが、徐々に交流事業も復活していくことが期待されます。  富山県では、現在、オレゴン州のほか、中国・遼寧省、ブラジル・サンパウロ市、ロシア・沿海地方と友好提携を結んでおられます。そのほかにも、韓国・江原道、中国・上海市、インド・アンドラプラデシュ州、スイス・バーゼル州、ベトナム国などとも交流があると承知しています。  今後、富山県が海外販路の開拓や輸出拡大など海外に打って出るためには、まずは友好地域との絆を大切にして、そしてさらに交流地域を拡大し、知事が先頭に立ってトップセールスすることも重要であると考えます。  また、次の時代を担う大学生等の若い世代の皆さんにも大いに見聞を広めてきてほしいと思いますが、今後の国際交流についてどのように取り組んでいかれるのか、新田知事の御所見をお伺いします。  次に、ワーケーションの推進について伺います。  インバウンドによる誘客が困難な今、コロナ禍で進んだリモートワークや多拠点居住の流れに沿って、ワーケーションによる関係人口構築の取組が全国で始まっています。当然、地域間競争が予想される中、本県としても積極的に取り組むべきと考えます。
     富山県成長戦略でも「ワーケーション」という言葉が10回も登場しています。ワーケーションの効果として、長期滞在による消費の増加、2次的な効果として、何度も訪れることでの関係人口の増加が挙げられます。そして3次的な効果として、その土地の住みよさに感動し移住・定住による人口の増加が挙げられます。  テレワークをきっかけにワーケーションが始まり、ワーケーションをきっかけに移住、多拠点居住、定住地を持たないアドレスホッピング等の住み方、働き方が、これから定着していくものと感じます。  今後のワーケーションの推進に当たって、県の部局横断的なワーケーションプロジェクトチームを立ち上げるなど、本県もこれらの動きにしっかりと対応し、選ばれる県になる必要がありますが、知事の御所見を伺います。  次に、若い女性の県内定着に向けた取組について伺います。  総務省が4月に発表した2021年の人口推計では、東京圏1都4県全てで人口が減少に転じ、東京一極集中に歯止めがかかったとのことでありました。しかし、本県は依然として女性が首都圏に多く転出しており、特に若い世代の女性の県内定着を進める必要があります。  県では、3月に富山県女性活躍推進戦略を策定し、女性が活躍できる県を目指して取り組んでおられますが、自己実現を目指す女性や高度なスキルを持つ女性が働きたいと思う魅力的な労働市場は首都圏に集中しており、本県にそのような労働市場をいかにつくり出すかが課題です。  本県は、全国と比べてサービス産業よりも製造業のウエートが高いため、女性が望む求人が少ないとは思いますが、女性の意見を多く取り入れ、若い女性が働きたくなるような職場環境へのリノベーションなどをはじめとして、仕事内容、勤務形態、福利厚生の変革を企業に促すなど、女性にとって県内企業が魅力的になるような支援が必要と考えますが、知事政策局長の所見を伺います。  次に、創業・ベンチャー支援とDXの推進について伺います。  本年秋にオープン予定の創業支援センター及び創業・移住促進住宅、SCOP TOYAMAは、全国でも先駆的な職住一体の施設であり、大いに期待されます。また、去る4月に県立大学にオープンしましたDX教育研究センターでは、県内企業のニーズを踏まえたDX人材の育成やDX研究を推進すると聞いています。  一方、県のスタートアップ支援戦略等では、核となるチャレンジ人材が活動しやすくなるような環境整備や、創造的な知的活動を行う人材の必要性が明示されていますが、こうした方々の取組を県内の教育現場で生かすことも重要ではないでしょうか。  例えば、こうした人材が学校現場に出向いて話をしたり、または生徒が創業支援センターなどに足を運び、話を聞いたり現場を見たりする機会を設け、若いうちから創業意欲を駆り立てるような仕掛けが必要と考えますが、知事政策局長の御所見をお伺いします。  最初の項目最後は、特色ある大学づくりについて伺います。  コロナ禍で地方回帰の機運が高まっていると言われています。これを長期的な真の流れにしていかなければなりません。少子化による大学経営への懸念も社会問題化している今、県内大学への進学を誘導する施策を進めていく必要があると考えます。  教育費の負担が家庭に重くのしかかっている現状の中、県内大学へ進学するメリットを生かし、学生の県内大学への進学意欲の向上につなげるためには、他に負けない特色ある学科やカリキュラム、研究を盛り込んだ大学を増やしていくことが重要と考えますが、特色ある大学づくりに向けたこれまでの県の支援状況と今後の取組について、経営管理部長にお伺いして最初の項目を終わります。 4 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 5 ◯知事(新田八朗君)井上学議員の御質問にお答えをします。  まず、国際交流に関する質問にお答えします。  本県では、議員御指摘のように、遼寧省あるいはオレゴン州など4つの地域と友好提携を結び、これまで30年、40年にわたりまして着実に交流、実績を積み重ねてまいりました。こうした実績、せっかくの友好提携ですから、これを生かして今後のますますの交流拡大を図っていくことが大切だと考えています。  また、本県の自然環境や文化、また観光資源の魅力や県内産業の強みを大いにアピールして、友好交流を深めるだけではなくて、県内企業のビジネス展開にも取り組むことが大切だと考えています。  今年度は7月末からオレゴン州を訪問し、友好提携30周年行事の開催、経済面を中心に様々な分野での交流を推進するための覚書を締結できればというふうに考えております。また、州立の研究施設の視察や起業に関する意見交換も行う予定です。全米の中でもポートランドは起業家のまちとしても知られているところでございます。  また、来年の2月には県内の学生をポートランドに短期派遣し、現地の起業家や大学生などと交流する起業・ビジネス研修を本格実施して、若い世代に起業家マインドを含む豊かな国際感覚を身につけていただきたいと考えています。このあたり、後の質問とも関連するのかもしれません。  今のところ、県議会、また富山日米協会、富山県経営者協会、富山経済同友会などの方々が一緒に参加してくださるというふうな、ありがたい情報をいただいております。  知事に就任して以来、コロナ禍にずっとありまして渡航制限もあり、なかなか取り組めなかった海外との交流を、これからできるだけ再開させていきたいと考えております。その際には、議員おっしゃっていただいたように、私が先頭に立って、これまで交流を深めてきた地域、そういう足がかりがあるそんな地域を中心に、本県の魅力を大いにアピールし、県内企業の海外販路の拡大、また力を入れてまいります農林水産物の輸出の拡大、誘客の促進、若い世代の交流拡大を、ほかの関係の皆さんとも連携して進めていければというふうに考えております。  次に、ワーケーションについての御質問にお答えします。  富山県成長戦略に10回も出てきたというのは、私も数えておりませんでした。ありがとうございます。  コロナ禍を契機にして、これはコロナのある意味では副産物と言えるかもしれませんが、テレワークやワーケーションなどの新しい働き方が広まってまいりました。これは後戻りさせてはいけないと考えています。特にこのワーケーションの推進は、移住そして多地域居住などにつながることも十分予想されますので、関係人口創出の観点からも大切だと考えます。  本県がワーケーション先として選ばれるためには──今どの都道府県もワーケーションにとても力を入れ始めておりますから大変な競争だと思います──リピーターになっていただいたり、あるいは地域交流にもつながる、まずは魅力ある人あるいは体験のプログラム、こういったものを用意することが大切、すなわちコンテンツを充実させることがまず大切だと考えています。そして、県外の方への訴求力向上につながるウエルビーイング先進地域という富山県の今のアドバンテージを、よりブランディングして磨き上げて発信していくことも大切と思います。また、設備面でも、コワーキングスペースあるいは宿泊施設など、受入れ体制を整備していくことも大切であります。  こうした中で本県では、今年度新たに、親子でも利用しやすい体験ツアーや県内各地のコワーキングスペースをつなぐツアーを開発します。そして、テレワーク推進企業にターゲットを絞った戦略的なPRに取り組みます。加えまして、10月にオープン予定のSCOP TOYAMA、これを活用してビジネスや交流につながる先進的なワーケーションというものも開発していきたいと考えています。  なお、プロジェクトチームを立ち上げてはというアドバイスをいただきました。  このワーケーション事業、本年度から知事政策局の所管としております。全庁を俯瞰しながら、ウエルビーイングの推進、また関係人口にも関連づけて展開ができますように、既に知事政策局から関係部局と連携を図りながら取組を進めております。ですので、今のところ知事政策局所管ということで対応できるのではないかと思います。PTの立ち上げというアドバイスも、今後検討はしていきたいと思います。  今後も関係部局、市町村、そして民間の皆さんと十分連携をして、ワーケーションの取組を一層推進してまいります。ありがとうございました。  1回目は以上でございます。 6 ◯議長(渡辺守人君)三牧知事政策局長。    〔知事政策局長三牧純一郎君登壇〕 7 ◯知事政策局長(三牧純一郎君)私からはまず、県内企業での女性活躍についての御質問にお答えさせていただきます。  女性が生き生きと活躍する企業においては、男性も働きやすく、優秀な人材確保、定着につながると言われております。また、女性の新たな視点による製品、サービスの開発や業務効率化、生産性向上などのメリットが期待でき、結果として企業価値の向上や成長をもたらすと言われております。  そうした考えの下、議員からも御指摘ありましたとおり、企業における女性活躍を推進するため、去る3月に富山県女性活躍推進戦略を策定したところでございます。まずはこの戦略を通して、女性活躍の様々なメリットをしっかりと県内企業に周知していきたいと考えてございます。  さらに、具体的な施策といたしまして、今年度はこの戦略に基づきまして、まず富山県版えるぼしであるとやま女性活躍企業の認定を開始するとともに、女性活躍に具体的に取り組もうとする企業に対して専門のコンサルを派遣しまして、課題解決に向けた個別のアドバイスを行うこととしております。  また、その女性活躍や働き方改革を積極的に推進して、従業員のウエルビーイング向上に資する先進的な取組を行う企業に対して補助を行うとともに、そうした事例を積極的に県内外にPRすることによって、県内企業における女性リーダーによる社内プロジェクトの推進、そして女性のブランディング人材起用などの横展開を推進して、女性にとって魅力的な仕事を1つでも2つでもどんどん増やしていきたいと考えてございます。  さらに、個別分野におきましても、建設業に従事する女性技術者等が活躍できる労働環境の整備促進であったり、首都圏等のIT、オフィス系の企業の誘致などにも取り組んでまいります。  さらに、先ほど申し上げましたとやま女性活躍企業の認定制度におきましては、社会保険労務士や中小企業診断士、そして商工会議所等に認定基準の確認者として御協力いただくことにしておりまして、より多くの認定企業の発掘制度としていきたいと考えてございます。  今後、さらに金融機関をはじめ経済団体等ともしっかり連携することで、官民による女性活躍を推進するネットワークを構築しながら、より多くの女性が働きやすく、生活しやすく、活躍できる環境整備に向けて取り組んでまいります。  続きまして、スタートアップ支援に関する御質問にお答えさせていただきます。  次世代を担う若い方に経営者目線を持ってもらい、富山から起業家が次々と生み出される素地をつくるためには、大学を卒業してからではなく、高校生など若いうちから起業に対する意識を変えていくこと、これが非常に重要であると考えてございます。  県のスタートアップ戦略会議におきましても、大学生や高校生に対して、富山出身で成功した社長の話を聞く機会を設けて、学生が自分にもチャンスがあるということを教えることが必要という意見をいただいてございます。  また、国のほうでは、現状でも中小企業庁で、そうした起業家教育を希望する学校への起業家の派遣等の支援を行っておりますし、年内に国がまとめますスタートアップ5か年計画にも、小中高における起業家精神の教育強化が盛り込まれております。実は私、8年ぐらい前に、起業家教育の担当を中小企業庁でしておりまして、文科省へ通ったんですけれども、小中学校はこの科、高校はこの科、高専はこの科という形で、なかなか進むのが大変だったんですけども、国全体の方針で計画に盛り込められればこうした取組が非常に進むんじゃないかと個人的にも期待しております。  そうした国の動きを見ながらも、県といたしましては、まず今年10月に開所を予定しております創業支援センター、SCOP TOYAMAにおいて、第一線で活躍されている起業家を講師とした学生向けの起業家セミナーも行いたいと思っておりますし、それ以外でも、チャレンジ精神あふれる施設の利用者と学生との交流の機会をたくさんつくっていければと思っておりますので、そうしたイベントを通して若者が起業することも進路の選択肢の一つであると感じることができる場づくり、これを非常に重視して進めていきたいと考えてございます。  また、学生を含めた若者を対象とした創業、起業のイベントにつきましては、県内のインキュベーション施設や市町村、経済団体についても非常に熱心に行われております。私が参加したコンテストも高校生が参加しておりましたので、県といたしましては、そうした団体ともしっかり連携して、官民で起業家の裾野の拡大に取り組んでいければと考えてございます。  以上になります。 8 ◯議長(渡辺守人君)岡本経営管理部長。    〔経営管理部長岡本達也君登壇〕 9 ◯経営管理部長(岡本達也君)私のほうからは、地方創生に向けた特色ある大学づくりに関する御質問についてお答えをいたします。  県内高校生の地元への進学や県外からの学生を確保するためには、特色ある大学づくりを進めることが重要であると考えております。  こうした中、県内大学では、平成30年には富山国際大学が英語国際キャリア専攻を、令和2年には富山福祉短期大学が国際観光学科を新設したほか、今年4月には富山大学が教員養成に特化した教育学部を改組、設置しております。また、県立大学におきましては、今年4月にDX教育研究センターの開設や情報関連学科の定員を拡充したほか、来年4月の看護系大学院と専攻科の設置を準備しているところでございます。さらに新たに、現在、データサイエンス人材育成に向けました検討を進めているところでございます。  県では、これまでも県民のニーズや産業界の要望を踏まえながら、学部・学科の新設など魅力ある学校づくりを進める県内大学を幅広く支援しており、特に私立大学におきましては、特色ある学部等の設置に必要な施設整備を支援するほか、寄附講座の実施、公開講座やシンポジウムの開催、学生確保のためのオープンキャンパスの開催などを支援しているところでございます。  加えて、県内7つの大学等で構成いたします大学コンソーシアム富山におきましては、各大学等が連携しまして進学パンフレットを作成し、県内高校1年生や中学2年生等に配布するなど、県内大学の魅力をPRしており、こうした取組を支援しているところでございます。  今後とも、県内学生の県内大学への進学意欲が高まるよう、各学校の特色ある大学づくりの取組を支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。 10 ◯議長(渡辺守人君)井上学君。    〔18番井上 学君登壇〕 11 ◯18番(井上 学君)ちなみに、成長戦略では「ウェルビーイング」という言葉は61回、たしか出てきておるところでございます。本気度が違います。  2項目めに入ります。  2項目めは、安全・安心に向けて5問質問いたします。  最初は、防犯カメラについて伺います。  県ではこれまで、学校周辺や通学路を含めた住宅街の犯罪の起きやすい場所、いわゆるホットスポットを中心に、防犯カメラの設置を推進してこられたと承知します。  また、2019年4月から、防犯カメラの設置に対する支援として補助金を交付してこられました。しかし、その補助金が今年度は廃止されました。これから防犯カメラを設置しようとしておられた自治会等には戸惑いがあると伺っています。  防犯カメラの設置は、犯罪防止や通学路の安全確保に極めて効果的であることは言うまでもなく、ウエルビーイング先進県を目指すためにも、安全・安心を確保することは重要な視点ではないかと考えます。  県は市町村と連携して、ワンチームとなって防犯カメラの設置を推進していくべきと考えますが、なぜ今年度から廃止することになったのか、またこれまでの補助の実績と今後の対応について、知事の御所見をお伺いします。  次に、県警察においては、平成30年から5か年計画で、防犯カメラの自治会等へのレンタル事業として貸出しを実施されています。お試し期間が過ぎれば、その効果を各自治会等で検討されて、引き続き買い取って設置するか返却するかを決めることになっています。  これまでのこのレンタル事業の実績とレンタル終了後の買取り実績を踏まえ、事業効果をどのように評価していらっしゃるのか伺います。  また、このレンタル事業は来年の9月末で5か年が経過し、予定していた期限を迎えるわけですが、要望が多ければ事業の継続が必要と考えますが、併せて警察本部長の所見を伺います。  次に、高齢者事故防止について伺います。  高齢者の運転による交通事故が立て続けに発生しております。逆走や暴走による事故などが目立っていますが、ブレーキとアクセルの踏み間違いの事故も多いと聞きます。一たび事故が起これば、被害者に肉体的にも精神的にも大きな損失が発生します。加害者側にも精神的、社会的な損失は大きなものがあります。  ブレーキの踏み間違いをはじめとする事故は、高齢者に限ることではなく、若者世代でも発生していると聞きますが、世代別に見た本県の踏み間違いによる事故の現状はどうなっているのか、また高齢者の事故防止に向けて今後どのように取り組むのか、警察本部長にお伺いをいたします。  次に、安全装置の補助制度について伺います。  高齢者のペダル踏み間違いによる事故防止も狙いだった国のサポカー補助金も、昨年11月で終了しました。全国では、独自で急発進防止装置取付補助制度を創設している自治体もあるとお聞きします。最近は、カーショップなどにおいて急発進防止装置などが数万円程度で販売されています。  県内地場産業の実力をもってすれば、本県においても簡易で安全で安価な装置を開発できるのではないかと期待するところでありますが、多発するブレーキとアクセルの踏み間違いによる悲惨な事故の撲滅に向けて、安全装置等の開発支援や装着に関しての補助制度が必要であると考えますが、生活環境文化部長の御所見をお伺いします。  この項目最後は、ドライブレコーダーの搭載促進について伺います。  車に搭載するドライブレコーダーは、危険運転や交通事故の証拠のほか自身の安全運転維持など、動く防犯カメラとしてその搭載効果は高いと言えます。特に、他県でのあおり運転の事件映像が繰り返しテレビ報道されたことから、ドライブレコーダーへの県民、国民意識は高まっていると考えられます。令和2年度の国土交通省の調査によりますと、自家用車への搭載率は全国で53.8%となっており、増加傾向にあると聞いています。  そこで、本県におけるドライブレコーダーの搭載率はどうなっているでしょうか。また、県警察並びに県公用車へのドライブレコーダーの搭載状況についても伺います。  鳥取県では、全県民を対象に、1台当たり上限3,000円で設置補助制度を設けておられたと聞きます。本県においても、広くドライブレコーダーの効果を啓発するとともに、補助制度を設けて設置の促進を図るべきと考えますが、生活環境文化部長の御所見をお伺いして2項目めの質問を終わります。 12 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 13 ◯知事(新田八朗君)防犯カメラの設置についての御質問にお答えをいたします。  まず、本県では北陸新幹線の開業──2015年3月ですが──に伴って、交流人口の増加が当然見込まれました。あの頃は、新幹線とともにあまり歓迎できない人も都会から来るのではないかと、そんなこともよく言われました。その対策として、平成25年度から27年度の3年間で、市町村による駅周辺や犯罪多発地帯での防犯カメラの設置に関して、延べ119地区、232台の防犯カメラ設置について支援をいたしました。  その後、平成30年に奥田交番の襲撃という痛ましい事件がありました。また、一般住宅への銃撃事件など住民の不安感が高まる事件が発生したことから、子どもの安全確保と地域防犯力の強化に関する有識者会議、この会議からの提言を踏まえまして、令和元年度から昨年度までの3年間で、地区安全なまちづくり推進センターを事業主体として、住宅地、通学路、公園などへの防犯カメラの設置に関して延べ194地区、340台に支援をいたしました。これによりまして、今のところ累計で全市町村の延べ313地区、572台への支援ということになります。  昨年度で終了した地区安全なまちづくり推進センターを事業主体とした支援につきましては、令和元年度の事業開始の際に、防犯カメラを設置する地区数の目標を200地区と設定しておりました。昨年度でおおむねこの目標が達成されたということ、それから、3年間というのはそれぞれの自治会さんでも設置を検討される期間としてはある程度十分なのではないかと、このようなことを考え、昨年度で終了したものであります。  ただ、県民の安全・安心の確保は大変重要なことであります。議員御指摘のように、戸惑われている自治会もあるということでしたので、地域の実情を十分にお聞きをして、県内の防犯、地域、事業所等の関係団体と行政で構成しております安全なまちづくり推進本部会議、この場で協議をしてまいりたいと考えます。  以上でございます。 14 ◯議長(渡辺守人君)杉本警察本部長。    〔警察本部長杉本伸正君登壇〕 15 ◯警察本部長(杉本伸正君)私からはまず、防犯カメラ貸出し事業についての御質問にお答えいたします。  防犯カメラ貸出し事業は、地域における防犯カメラの自主的な設置の促進を図ることを目的として、申請のあった町内会、自治会や防犯組合等に対して防犯カメラを無償で貸し出し、設置効果を体感していただくものであり、平成30年10月から5か年計画で実施しております。事業開始から本年5月末まで計372台を貸し出し、うち345台、約93%が買取りとなって継続利用をされているところでございます。  この事業は、先に効果を試していただき、納得をいただいた上で費用を負担していただくという点では、越中富山の薬売りの先用後利の考え方を生かした手法と言え、本県にふさわしい取組ではないかと考えております。  その具体的な効果につきましては、防犯カメラは、子供や地域の見守り活動のため学校周辺や通学路、交通要点等に設置することで、犯罪の抑止と地域の安全・安心の醸成に有効であり、令和3年3月に実施をしましたアンケート調査でも、貸出し先の約92%から地域の安全・安心を実感しているとの回答をいただいています。  また、地域の見守りについては約80%、子供の安全確保では約71%の方から、役立っているとの回答をいただいており、本事業には一定の効果があるものと考えております。  県警察では、令和3年2月の富山県警察の機能強化を考える懇話会における、さらなる防犯カメラの設置促進と効果的な活用に努め、官民一体となって安全なまちづくりに取り組むことが重要という御提言も踏まえまして、今後も地域の自主的な防犯カメラの設置促進に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。  続きまして、ブレーキとアクセルの踏み間違い事故についての御質問にお答えいたします。  当県におけるブレーキとアクセルペダルの踏み間違いによる事故は、平成29年から本年5月までに151件の人身事故が発生しております。年代別で見ますと、全件数の約半数、48.3%に当たる73件が65歳以上の高齢運転者による事故でございます。そのうちの44件は75歳以上の高齢運転者によるものとなります。一方、16歳から24歳までの若年運転者による事故は17件と、全件数に占める割合は約11%となっております。
     これは、免許人口1万人当たりの数字で見てみますと、全世代の平均は約0.4件。世代別で見ますと、65歳以上の高齢運転者と若年運転者はともに約0.6件と平均を超えているという状況であります。さらに、75歳以上の高齢運転者に限ってみますと、約1.0件と高い数値となっているところでございます。  さらに、このブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故のうち死亡事故に限ってみますと、平成29年から本年5月までに7件発生しておりますけれども、その全てが75歳以上の高齢運転者によるものとなっております。  この要因ということなんですけれども、高齢運転者の場合は、加齢に伴う様々な身体機能の低下が運転に少なからず影響し、ペダル操作の誤りなどの原因となっていることが考えられます。  一方、若年運転者は、免許取得から間がない、運転操作に不慣れという点がありますが、身体機能が高いことから、踏み間違ったとしても踏み間違いにすぐに気がついて回避行動を取ることができることによって、衝撃が軽減され重大な事故には至らない場合があるのではないかというふうに考えているところであります。  したがいまして、高齢運転者によるブレーキとアクセルペダルの踏み間違いによる事故は、重大な事故に至る場合も少なくないということでございます。  この種の事故の防止に向けまして、県警察では、高齢運転者の身体機能の低下等を補う安全運転サポートカーの試乗運転等による普及啓発、ドライブレコーダーを活用した検証を実施するシルバードライビングスクールの開催、加齢に伴う身体機能の低下を正しく自覚して、より慎重な運転を心がけていただく、やわやわ運転自主宣言などを今後も推進していくとともに、本年5月13日から施行されました改正道路交通法に設けられたサポートカー限定免許制度についても高齢者講習等を通じて周知を図るなど、様々な手段を用いて高齢者の交通事故防止に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 16 ◯議長(渡辺守人君)廣島生活環境文化部長。    〔生活環境文化部長廣島伸一君登壇〕 17 ◯生活環境文化部長(廣島伸一君)私からは、まず、乗用車の安全装置などに関する質問についてお答えをいたします。  議員御指摘いただきました急発進防止などの安全装置につきましては、令和2年の国土交通省のデータによりますと、全国で、衝突被害軽減ブレーキ、いわゆる自動ブレーキの新車への搭載率が95.8%、ペダル踏み間違い時の急発進抑制装置の新車への搭載率は90.8%となってございます。  こうした中、国では、新車への自動ブレーキの装着を令和3年11月から段階的に義務化、これを進めております。今後、さらに自動ブレーキやペダル踏み間違い時の加速抑制装置を搭載した、いわゆる安全運転サポートカーが普及していくと見込まれるところでございます。  また、今ほどの警察本部長の答弁にもあったとおり、本県でのブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故の約半数が65歳以上の高齢運転者によるものとなってございます。  こうした状況を踏まえまして、県としましては、安全運転サポートカーの同乗体験など、高齢者が先進安全技術について知る機会や運転支援機能を体験できる機会を増やしますほか、一方では、この運転を支援するシステムが、条件によっては作動しない可能性もある、あくまでも補助機能であるというようなことの周知にも取り組むなど、まずは高齢者を中心とした事故防止対策に努めてまいりたいと考えております。  御提案の補助制度などにつきましては、他県の取組状況等も参考に、その必要性などについて研究してまいりたいと考えております。  次に、ドライブレコーダーに関する質問にお答えいたします。  ドライブレコーダーの県内における搭載状況ですが、残念ながら調査されたものがないということで、把握できない状況でございます。  また、県警察のほうでは車両全てに搭載しております。また、県の公用車では、除雪車等特殊車両を除いた約3割が搭載しております。  ドライブレコーダーは、事故発生時の映像が記録されますことで客観的な検証が可能になり、事故原因の解明に役立つものでございます。また、これを設置しますことにより、運転者の安全意識の向上にもつながると考えられております。  このため、県としましては、県警察が配信しておられますセーフティードライバーズ情報など、県民への情報発信手段を活用させていただくなどして、その効果の周知を図ってまいります。また、県警察や関係機関、団体等と連携し、各種会議や研修会、交通安全教室など、様々な機会を通してその効果の啓発に取り組んでまいります。  御提案の補助制度につきましては、他県の取組なども参考に、その必要性などについて研究してまいります。  以上でございます。 18 ◯議長(渡辺守人君)井上学君。    〔18番井上 学君登壇〕 19 ◯18番(井上 学君)最後の項目は、人づくりに向けて4問伺います。  まず、富山県民は睡眠不足が全国ワーストワンだと。運動不足も全国45位というショッキングな調査結果が昨年公表されました。  協会けんぽ富山支部がまとめた2019年度の健康診断データでは、県内の睡眠不足の人の割合は48.4%となり全国ワースト、運動不足も72.6%で全国45位と低迷いたしました。  県では、これを受けて昨年秋に、ぐっすりとやまキャンペーンを実施されたと承知しますが、その参加状況はどうだったのでしょうか。また、これまで県民の睡眠の確保に県としてどのような対策を講じてこられたのか、お伺いします。  ウエルビーイングという言葉には、幸福のほかに健康という意味もあるそうであります。十分な睡眠を取って健康増進を図ることは、ウエルビーイング向上に欠かせない要素だと考えます。まずは、ぐっすりと眠ることができる社会、地域づくりが大事と考えますが、知事の御所見を伺います。  次に、主権者教育について伺います。  世界的に見て、日本における若年層の投票率は諸外国と比較して低い水準であり、若者の政治離れが顕著であると言われています。令和元年の参議院議員選挙から18歳の投票が認められました。18歳の投票率は高い傾向にあるものの、19歳になるとその数値は低下し、政治への参加、自らが主権者なのだという意識醸成の定着には道半ばであると言えます。  主権者教育は、働くことの意義や、税、社会保険といった負担を自分事として理解し、財政健全化や社会保障をはじめとした県民の権利や義務など、国民生活を営む上で必要な知識の前向きな蓄積につながると考えます。  義務教育段階から主権者として必要な資質を育むことが重要と考えますが、本県の現状と今後の取組について、教育長に伺います。  次に、裁判員制度について伺います。  今年の4月から成人年齢を18歳に引き下げる民法の改正と少年法の改正に伴って、裁判員に選ばれる年齢も18歳以上となり、来年以降、高校生が裁判員に選ばれる可能性があります。  これを受け文部科学省は、3月、全国の教育委員会に対し、高校生が裁判員として裁判に参加した場合は欠席として扱わないように通知しました。併せて、学習に著しい遅れが生じないよう、補習を実施するなど必要な措置を講じるよう求めています。また、裁判員として参加する場合は、専門的な法律の知識や事前の勉強は必要ないことなども伝えています。  しかしながら、多くの高校生は、これまでの学校教育の中で政治や社会の仕組みを学ぶことはあっても、社会が直面する課題や選挙などを自分事として考える機会は少なく、社会経験の乏しさが懸念されます。  そこで、本県としてのこの課題への対応について、教育長の所見を伺います。  最後に、大学生の就職活動について伺います。  今年4月、経団連と大学側の産学協議会が、就職活動解禁前のインターンシップに参加した学生の評価を、企業が採用選考で活用できるようにすることで合意しました。早ければ2024年度の卒業生から適用されるとのことです。就職活動の前倒しに拍車がかかることになりそうであります。  現行の就活ルールは、3年生の3月に会社説明会、4年生の6月に面接などの選考を解禁し、内定は10月以降としています。しかし、大手就職情報会社によると、来年3月卒業予定大学生の6月1日現時点の内定率は、既に73.1%に上ります。内定先の多くがインターン参加企業であります。就活解禁前のインターンが実質的に早期選考の場になっているということであります。  インターンが採用に直結するなら、学生はより早い段階で志望を固め、会社を絞り込む必要に迫られるわけで、早ければ2年生の段階から就活の準備を始めなければなりません。学業のほか、部活動やボランティア活動など、大学生としてやるべきことが犠牲になることはないのか心配になります。  あまりに早い時期に志望先を決めることで、ミスマッチによる早期離職も懸念されます。何らかの事情でインターンに参加できなかった学生が著しく不利益になることはないのでしょうか。学生にとってよりメリットが大きい就活の在り方を関係者は引き続き模索するべきと考えますが、県としてこの問題をどのように捉えておられるのか、商工労働部長にお伺いをして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 20 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 21 ◯知事(新田八朗君)ぐっすりとやまキャンペーンの御質問にお答えします。  令和元年度のデータに基づいて昨年7月に協会けんぽ富山支部が発表された資料では、富山県は睡眠で休養が十分取れていないとされる方の割合が48.4%、全国ワースト。また、令和2年度の本県の調査では、働く世代において、ストレスあるいは仕事で帰宅が遅いなどの原因で、熟睡困難あるいは慢性睡眠不足など睡眠の満足度が低下している実態が確認されました。  睡眠不足というのは、言うまでもなく、生活習慣病につながったり、また生活の質が落ちる、ひいては医療費が高くなってしまう、そんなことにつながるわけですから、県民の睡眠習慣の改善、また運動習慣をつけるということ、これは富山県の健康課題の一つと捉えております。  このため本県では、議員御指摘いただいたように、令和3年度に、チーム対抗で睡眠習慣の改善に取り組むぐっすりとやまキャンペーンを実施しました。家族や仲間、職場でチームをつくっていただいて、243チーム1,352人の方に御参加いただきました。アンケートの回答者の約6割の方から睡眠満足度が向上したという、そんな実感をされたというお答えをいただいています。  本年度は、このチーム対抗キャンペーン──昨年実施したものに加えまして、新たに9月に睡眠に関するシンポジウムを開催いたします。また、働く世代の睡眠習慣の改善を図っていくために、県内の企業や団体に質のよい睡眠に関する出前講座の講師も派遣をしているところでございます。このような支援策を取っています。  また、長時間労働が疲労の蓄積あるいは睡眠時間の短縮、また睡眠の質の低下につながることから、健康経営を推進し、従業員の健康づくりに取り組まれている企業を顕彰する、とやま健康経営企業大賞という制度をつくりまして、こういった企業を顕彰しております。この中では、たばこ対策あるいはがん対策とともに運動習慣も重視をする、そんなこともこの顕彰のポイントにして、企業からこのような健康づくりに取り組んでいただきたいと、そんな施策も実施をしています。また、楽しんでウオーキングができる、そのようなアプリも公開をしてお使いいただいているところでございます。  いずれしましても、十分な睡眠、また運動習慣、これは健康増進の重要な要素でありまして、おっしゃるように、ウエルビーイングの向上の言わば必要条件だというふうに考えております。今後も、睡眠習慣、また運動習慣の改善に取り組んでいきたいと考えております。  私からは以上です。 22 ◯議長(渡辺守人君)荻布教育長。    〔教育長荻布佳子君登壇〕 23 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、まず主権者教育の取組についての御質問にお答えいたします。  選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられたことにより、学校教育においては、これまで以上に主権者教育の充実を図ることが必要であり、各学校では、教科だけでなく学校の教育活動全体を通じて様々な学びの場を設けております。  まず、義務教育段階では、社会科を中心に家庭科、道徳科など教科横断的に、政治、経済、消費者の権利、勤労精神などについて学んでおります。さらに、県内の税務署や社会保険労務士会、市町村の選挙管理委員会などと連携した出前授業や、実際の投票箱や投票用紙記載台などを使用して生徒会選挙を実施するなどしております。  高校では、公共などの授業で、よりよい社会の実現を目指して主体的に取り組む態度を育成しております。また、県選挙管理委員会と連携した模擬選挙などの出前授業や、高校生とやま県議会における議会形式の意見発表などの実践的な取組を行っており、これまでも小中高を通じて、主権者意識や主体的な社会参画に必要な資質が身につくよう工夫した取組に努めております。  議員御指摘のとおり、高校卒業後も意識が定着するよう、義務教育段階からしっかり取り組むことが重要と考えております。  昨年度、県議会で実施された出前講座は、議員の皆さんから直接お話をお聞きすることで、政治参加意識の高まりにつながる教育的価値が高いものでございまして、例えば、こうした取組を市町村教育委員会や校長会に情報提供し、今後の取組の充実の参考にしていただくなど、今後とも選挙管理委員会や県議会などとも連携して主権者教育の充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、高校生が裁判員に選ばれる可能性があることへの対応についての御質問にお答えいたします。  平成21年に裁判員制度がスタートいたしましたが、今年4月の成年年齢引下げにより、高校生など18歳の生徒が在学中に裁判員となることが可能となりました。選挙権年齢の引下げを含めた社会の大きな制度変更により、高校生には、社会の一員としての自覚を持つだけではなく、実際に積極的に社会参加することが求められております。  このため、高校では、主権者教育に積極的に取り組みますほか、総合的な探究の時間などの授業において、地域社会が抱える課題等に対し、根拠に基づき論理的に自己の考えをまとめたり意見を主張したりする課題解決能力の育成に取り組んでおります。  また、社会体験の一つとして実施するインターンシップは、学校での学びが実社会でどう生きるかを実感することで、地域や社会への理解を深め、企業等の課題や社会経済について考えるきっかけとしております。  これらの教育活動は、社会経験のまだ少ない高校生の社会参画への意識を高め、社会課題の解決を自分事として捉えるなど、構成員の一人として主体的に社会の形成に参画する態度の育成につながると考えております。  高校生が裁判員として評議、評決の場において意見を述べることとなった場合にも、公正に考え、自身の考えを正しく主張できるよう、今後も社会の諸課題を多面的、多角的に考える力を育む教育の充実に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 24 ◯議長(渡辺守人君)中谷商工労働部長。    〔商工労働部長中谷 仁君登壇〕 25 ◯商工労働部長(中谷 仁君)私からは、インターンシップの在り方についてお答えをいたします。  インターンシップの在り方につきましては、これまで経団連と全国的な大学のトップによる産学協議会におきまして、就業体験を伴う質の高いインターンシップを根づかせ、学生と企業との間のマッチングを高めていく視点から議論が行われてきたところであります。  本年4月18日の会議におきまして、就業体験の要素を確保するための期間や内容等の要件を設定した上で、該当するインターンシップに参加した学生の情報につきましては、企業が採用選考活動で活用できる方向での報告書が取りまとめられたところでございます。  これを受けまして、同日開催されました経済産業省、文部科学省、厚生労働省等で構成されます、就業・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議におきまして、インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方──三省合意というふうに言われておりますが、それにつきまして、同報告書を踏まえた改正を行う意向が示されたところであります。  この連絡会議におきましては、インターンシップを受けないと採用選考のためのエントリーができない、または内定が得られないといった誤解が生じないよう周知が必要という意見、それから学生が不利益な取扱いを受けることにならないよう、大学や企業に労働関係法令を十分理解してもらうことも重要といった意見が述べられております。今後、これらの意見を踏まえた検討がなされるものというふうに考えております。  県といたしましては、これらの検討状況や対象となりますインターンシップがどの程度実施されるのか、そういったことにつきまして注視をいたしますとともに、引き続き富山県の産学官による県インターンシップ推進協議会等におきまして、関係機関とも十分連携しながら、学生及び企業にとって望ましい適正で質の高いインターンシップの実施を推進してまいります。  以上でございます。 26 ◯議長(渡辺守人君)以上で井上学君の質問は終了しました。  種部恭子君。    〔9番種部恭子君登壇〕 27 ◯9番(種部恭子君)自由民主党議員会の種部です。  今日は南里地方創生局長のお誕生日ということですが、今日はロックの日だそうです。元ロック少女の種部としては、今日質問の機会をいただきまして、諸先輩方と同僚議員の皆様に感謝を申し上げたいと思います。  まず最初に、困難な問題を抱える女性への支援について5問伺います。  皆様も報道で御存じかと思いますけれども、5月13日、県内で起こった性犯罪の裁判員裁判で無罪判決が出されました。私は判決の内容に大変驚きました。被害者は恐怖のために声も上げられない状況であったにもかかわらず、裁判官は判決で、助けを求めることができたはずだ、逃げられたはずだ、と述べました。  被害者心理への理解が進んだ最近の判決の傾向を覆す信じられない判決でしたが、捜査、立証の段階での課題もあったのではないかと思っています。  裁判では、強制性交であったことを示す証拠として、外傷の診断が争点になりました。性犯罪の裁判として被害を公正、中立に客観的に証明するためには、DNAや外傷が証拠として重要ですけれども、この診断というのは非常に難しく、その解釈には法医学の専門家の判断も必要となり、また、供述調書を作成する現場の警察官にも高度な専門的な知識が求められます。  現在、警察署の再編と機能強化が検討されておりますが、それでも所轄に高度な知識を持つ警察官を常時配備するというのは困難だと思っております。負担も非常に大きいはずでございます。福井県警察では、所轄ではなくて警察本部に性犯罪捜査チーム──SWINGという名前だったと思いますが、女性警察官のみのチームをつくって、その専門チームを県下に派遣するという形を取っています。  県警本部に専門的知見を持つスーパーバイザーを含む専門チームを置き、所轄警察署にチームを派遣して捜査の初動の支援を行うことを検討すべきと考えます。警察本部長に御所見を伺います。  性暴力の加害者の9割は顔見知りです。だからこそ被害者の多くは混乱し、最初に警察に相談する者はごく一部であります。  今回の無罪判決の事例もそうでしたが、妊娠を防ごうとして医療機関を受診し、そこで警察や性暴力被害者のためのワンストップ支援センターに連絡するように勧められました。このパターンを取るものがいまだに非常に多く、医療機関はどこでも証拠保全に対応できるというわけではありませんので、被害者が最初にワンストップ支援センターに連絡して、そこから対応できる医療機関、あるいは警察にすぐつないでいれば、適正な証拠保全が受けられた可能性が高いと思います。そうであれば、今回の裁判の結果は異なっていたのではないかと推察をしています。  つまり、ワンストップ支援センターの存在自体を知らない県民がまだ多く、被害に遭って混乱している中で、頭の中に全国共通ダイヤル#8891──皆様はこの番号を御存じだったでしょうか──この番号が浮かんでこないという状況にあるのだと理解しています。周知が圧倒的に足りないのではないかと考えております。どのように取り組むのか、廣島生活環境文化部長にお伺いいたします。  5月19日、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が可決されました。令和6年から施行されることになっています。これは、私ども支援の現場にいる者としては、66年前にできた売春防止法の悲願の改正であります。  困難な問題を抱える女性とは、性暴力、DV、虐待、貧困などによって社会生活に困難を来している女性であり、県内にも虐待から逃げて風俗で生活する子供たちがいます。このような少女たちは、児童福祉と売春防止法の枠組みのはざまにいます。適切な支援がございません。  元厚生労働事務次官の村木厚子さんは、冤罪で逮捕された際に、同じ留置場の中にいる子供たちが虐待から逃げて風俗にいた子供たちだったということを知り、現役引退後に若草プロジェクトという民間シェルターを立ち上げました。厚生労働事務次官ですら、子供たち、少女たちがこんな状況に置かれているということを知らなかったということに私は大変驚きました。  困難女性支援法が施行される2年後には婦人保護事業の新たな枠組みがつくられ、県でも基本計画を策定されると思いますが、県内に、現状の売春防止法を根拠法とする民間シェルターや婦人保護施設などの自立支援施設はありません。また、児童福祉法を根拠法とする自立支援施設は定員が非常に少なく、カバーし切れずいつもあふれている状態です。現在、今日泊まる場所がない若い女の子たちは、県外の自立支援施設にお願いをしているという状況です。  今すぐにでも要対協の困難女性版を立ち上げて、法が示す民間団体を含めた関係機関による協議の場を設け、県内の現状把握と課題抽出を行い、法施行後の基本計画策定に向けて、今すぐできることから着手する必要があると考えていますが、どのように取り組むのか、新田知事にお伺いをいたします。  次に、DV被害から逃げ、自立を目指す女性や親子への支援について伺います。  DVから逃げるには、経済的な問題や手続の煩雑さなど極めて高いハードルがあります。逃げた後、居場所が突き止められないように住基ロックをかける必要がありますが、住基ロックは毎年更新が必要であり、毎年警察署に行って、毎年思い出したくもないDVの話をし、毎年DVの証明をもらって住基ロックの更新を行わなければなりません。  また、国民健康保険の医療費のお知らせというのは世帯主に送られてきます。お知らせの差止めの手続も必要ですけれど、これも毎年更新が必要です。人の手が入れば入るほど情報漏えいによって被害者を危険にさらすリスクが高まります。したがって、速やかに世帯分離を行って国保の通知がされないようにしたほうが安全ですが、この世帯分離をしやすい市町村とそうでないところがあると聞いています。
     これらの更新手続は、警察に行き、市役所に行き、ということで1日仕事でありまして、仕事を休むことは収入にも直結いたします。  県のDV対策基本計画には、手続や支援措置の適切な運用に取り組むと明記されています。どの市町村でも即時に国保の世帯分離を行うことができるように、また、住基ロックの1年ごとの更新制を廃止すべきではないかと思います。申出があるまで自動更新ができるように働きかけるべきではないでしょうか。木内厚生部長、今日はロックの日でございます、前向きな答弁をお願いしたいと思います。  富山県には婦人保護施設がありませんので、着のみ着のままDVから逃げた後の親子は、公営住宅での生活保護による自立生活をスタートさせることになります。  県営住宅の場合、家賃の減免を受けることができますが、これも毎年、更新手続が求められます。県から児童扶養手当の受給者証や障害年金のコピーの提出をしなければいけない、この通知が郵送で毎年送られてきます。しかも、その受給者証のコピーを提出しているのに、県は市町村に児童扶養手当とか障害年金の受給状況の現状確認をしていると思います。どうせ市町村に照会するんだったら、更新のたびにコピーを出させるというのは、入居者にとっても担当職員にとっても労力の無駄です。ヒューマンエラーによって、これも情報漏えいのリスクが高まります。  県営住宅入居時にはマイナンバーの提出を求めていると思いますので、入居時にマイナンバーの使用許諾及び児童扶養手当等の受給状況の毎年照会に関する承諾を先に得ておけば、減免手続は自動更新にできると考えますが、市井土木部長に所見を伺い、1つ目のこの項目の質問を終わります。 28 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 29 ◯知事(新田八朗君)種部恭子議員の御質問にお答えします。  困難な問題を抱える女性への支援についての御質問にお答えします。  先月成立した困難な問題を抱える女性への支援に関する法律は、DVや性的な被害など様々な事情で困難な問題を抱える女性に、多様な支援を包括的に提供する体制を整備することなどを基本理念として、今後、国では法に基づく基本方針を、また、私ども都道府県では国の方針に即した基本計画を策定することとなります。  現在、本県では、日常生活や社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性の相談には、県女性相談センターが相談に応じております。必要に応じて、安全確保の一時保護、生活支援、心理的ケア、就職活動支援、退所後の生活再建に向けたきめ細かい支援を行っております。退所後においても、自立や帰宅などが困難な方については、県外施設への入所など広域的な対応も行っています。  また、昨年度からは、より柔軟な支援が可能な民間シェルターと連携をし、居場所の提供や自立に向けた中長期的な支援にも取り組んでいます。  県の基本計画の策定に当たって、まずは現状や課題などの整理が必要となります。こうした協議検討のためには、厚生センター、児童相談所、ハローワーク、警察、医療機関などの関係機関が連携して取り組んでいく必要があります。このために、DV対策連絡協議会や民間シェルターとの連携会議などにおいて、市町村や関係機関、民間団体などと連携をして進めてまいります。  また、議員御発言の法に即した関係機関による協議の場の設置につきましても、これから策定される国の方針や諸規程などの整備を踏まえて、どのような機関が参画すべきか、また、その役割はどうなのか、このようなことを整理して対応していきたいと考えます。  以上です。 30 ◯議長(渡辺守人君)杉本警察本部長。    〔警察本部長杉本伸正君登壇〕 31 ◯警察本部長(杉本伸正君)私からは、性犯罪の捜査についての御質問にお答えいたします。  性犯罪は、被害者の尊厳を踏みにじり、その心身に長期にわたる悪影響を及ぼす重大な犯罪であり、警察としても、重要犯罪として厳正に対処を行っています。  性犯罪は、その性質上、被害の届出や相談をためらう方が多い、プライバシー保護の必要性が特に高い、事情聴取によって被害状況を再び想起させる可能性が高く、体調等への配慮が特に必要となる、医療機関の受診等についての説明が必要になるなど、他の犯罪の場合以上に配慮しなければならないことが多く、捜査に当たって専門的知識が必要となります。  また、性犯罪の適切な処罰を実現するためには、客観証拠の収集が不可欠であり、特に事件発生初期における迅速かつ充実した捜査が必要となりますため、事件発生初期における対応において、特に重要な役割を果たしている警察署の捜査員の知識、能力の向上を図ることが先決であると考えております。  このため、女性を含む約70名の警察官を性犯罪捜査員に指定し、継続的な研修を行ってその専門性を高めるとともに、その大部分を警察署に配置し、捜査の中核とすることなどにより、警察署による性犯罪捜査能力の強化を図ってきております。  その上で、警察本部による警察署の支援も重要であると考えておりまして、警察本部刑事部捜査第一課に性犯罪捜査係を設置し、高い能力と経験を有するスタッフを配置して、初動の段階から警察への支援や指導、必要に応じて現場への展開などを行っており、警察署と警察本部が一体となって性犯罪捜査を行っているところでございます。  その意味におきましては、議員御指摘の専門チームの設置やその派遣による警察署の支援ということにつきましては、既にある程度取り組んでいるものと認識しておりますけれども、さらにその専門性と機動性を高めていくべきだというのが御指摘の趣旨であるというふうに承りました。その趣旨を実現していくべく、性犯罪の適切な処罰と被害者の適切な支援を目指しまして、その在り方については検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。 32 ◯議長(渡辺守人君)廣島生活環境文化部長。    〔生活環境文化部長廣島伸一君登壇〕 33 ◯生活環境文化部長(廣島伸一君)私からは、性暴力被害対応の啓発に関する質問にお答えをいたします。  性暴力被害の対応につきましては、県では、平成30年に、御案内の性暴力被害ワンストップ支援センターとやまを設置し、専門的な知識を有しますスタッフによりまして、24時間365日電話相談に対応しますほか、医療機関や警察等への同行支援など、被害直後から総合的な支援を一元的に行うことによりまして、被害者の心身の負担の軽減を図るとともに、被害の潜在化の防止を進めております。  県では、これまで、専用ホームページの開設や、中学生から知ってもらえるよう全国共通短縮ダイヤル#8891──はやくワンストップ──等を記載しましたカードを、毎年、中学1年生に配付しますとともに、広く県民の方を対象とした性暴力被害者支援を啓発する公開講座等の各種イベント等で、同センターを周知してきたところでございます。  今年度は、新たにセンターの広報用パネルを作成し、市町村巡回パネル展等で広く県民に周知する予定でございました。これについては、今回、議員の御指摘も踏まえまして、早期に取り組むことといたします。  また、このほか、センターやセンターが持つ機能自体をよりPRするため、SNS広告等の活用など、速やかに実施できる事項を検討してまいりたいと思います。  また、今後は、はやくワンストップの運用主体でもあります国にも、その周知啓発の強化を働きかけますほか、県内市町村にも啓発の協力を依頼いたします。  県や民間支援団体で構成いたします富山県犯罪被害者等支援協議会の場なども活用しまして、センターの機能などの効果的な周知について検討してまいります。  以上でございます。 34 ◯議長(渡辺守人君)木内厚生部長。    〔厚生部長木内哲平君登壇〕 35 ◯厚生部長(木内哲平君)私からは、国民健康保険及び住民票の事務の取扱いについての御質問にお答えをいたします。  DV被害者における国民健康保険の世帯員認定の取扱いにつきましては、国の通知に基づきまして、被害者から、公的機関が発行する暴力などを理由として保護した旨の証明書、こういったものを添付して、世帯員から外れる旨の申出がなされた場合には、市町村において速やかに被害者を世帯員から外す手続を行うこととされております。  また、被害者の申出により住民票の写しの交付などを特例的に制限する措置──DV等支援措置と言われていますけども、この措置につきましては、国の住民基本台帳事務処理要領によりまして、その期間が1年間とされているところでございます。  御指摘ありましたとおり、支援措置期間を1年を超えて設定すること、あるいは市町村窓口への出頭による本人確認を省略すること、これらについて他県市町村から国に対して提案がされたところでありますけれども、国におきましては、この延長の申出に当たっても、不正な申出を防ぐため、本人確認や支援措置の必要性の確認を確実に行う必要がある。その期間についても、そうしたことから一定の合理性があると、このような回答でございました。  県としては、引き続きこうした支援を行うための申出等につきまして、被害者の方に情報提供や手続の支援を行うとともに、適切な運用が図られるよう市町村に周知をしてまいります。  以上です。 36 ◯議長(渡辺守人君)市井土木部長。    〔土木部長市井昌彦君登壇〕 37 ◯土木部長(市井昌彦君)私から、県営住宅の家賃減免手続におけるマイナンバーカードの活用等についての御質問にお答えします。  県営住宅は入居者の収入に応じた家賃設定となっているため、毎年、入居者から御報告いただいた収入を県が確認していたのですが、入居者、県、双方の手続の負担や経費の軽減につながることから、本県では、平成30年度に、いわゆるマイナンバー関係法令で利用が可能なものとして限定列挙されている課税所得や住民票について、都度更新される情報の提供を受け、確認する方法に変更しております。  その上で、さらに、家賃の支払いが困難と認められる方に対しては、年金等の受給額、児童手当・児童扶養手当の受給額、仕送りや養育費の受領額、医療費の支出額などの情報について御本人から関係書類を提出していただき、審査の上、家賃の減免措置を講じているところです。  議員お尋ねの、この家賃減免手続におけるマイナンバーの活用に関しましては、審査に必要となる年金や児童手当等の受給額について、マイナンバーを通じ情報提供を受けることが法令では認められていないため、残念ながら現行制度上はできません。  また、市町村等へ照会することに関しましては、仕送りや養育費の受領額についての情報は、公的機関においては把握していないため、毎年、御本人から申告していただく必要がございます。  こうしたことから、自動更新は困難であることを御理解賜りたいと考えております。  県としましては、引き続き、家賃の減免手続について、県営住宅の指定管理者とも連携しながら、申請書の記載方法等について丁寧な案内を行うとともに、減免手続に慣れていない方に対しては個別に対応させていただくなど、手続が少しでも円滑に進むよう努めてまいります。  以上でございます。 38 ◯議長(渡辺守人君)種部恭子君。    〔9番種部恭子君登壇〕 39 ◯9番(種部恭子君)2つ目に、社会的養育など、困難な状況に置かれた子供の権利の擁護について6問お伺いをいたします。  児童養護施設に措置入所している子供の修学等に係る経費は、措置費で賄われていますが、措置費の上限を超える授業料や教材費、高等教育を目指す子供が塾に行く費用、また、必要な物品がかさむ月にたまたま、例えば、制服が破けて補修費が必要になったとか、そのような臨時の出費がかかった場合などには、措置費の上限を超えてしまいます。その分は子供の児童手当や子供のお小遣いから費用を出さなければならないことになります。  施設の退所後、ここにいる子供たちは独りで生きていかなければならない子供たちもいますので、できるだけ貯金は残しておいてあげたいので、児童手当や貯金に手をつけさせるべきではないと考えます。  児童養護施設措置入所者の修学や、塾や生活のための資金が措置費の上限を超えた場合、県でその費用を補填し、高校卒業や高等教育修了を目指すべきだと考えますが、木内厚生部長に御所見を伺います。  児童養護施設措置入所中の子供たちのほとんどが被虐待児であります。トラウマや愛着障害を持っており、精神科での診断や心理治療が必要であり、児相への一時保護中や措置入所中に心を治してからでなければ、里親委託や自立は困難です。  しかし、児童養護施設入所者が精神科及び産婦人科を受診する場合、またワクチン接種を希望する場合は、親権者の同意を取得するように求められていると、現場でそのような運用をしていると聞いています。  精神科受診については親権者が自分を否定されたような気持ちになるため受診の拒否をされやすく、産婦人科受診やワクチンも偏見によって親権者に拒否される場合が時々ございます。  親権者同意を求めたために受診や接種を拒否されれば、子供が健康を守ろうとする権利を侵害するという可能性がございます。子供のニーズと子供の意思を優先し、子供にとって必要な医療やワクチンは、児童相談所長または措置委託先が親権者同意を取得せずに速やかに実施すべきと考えますが、木内厚生部長に御所見を伺います。  幼少時に愛着形成ができなかった子供がケアされないまま思春期になると、養育には非常に困難を伴います。児童養護施設措置中の年長児の里親委託は非常に難しいと聞いています。しかし、18歳になって自立した後でも助けを求めることができる関係性をつくっておかなければ、孤立し、自殺をする子供たちがいます。積極的に里親委託を進めるべきだと思います。  そのためには専門里親の確保とスキルアップが必要ですが、アウトリーチを含めて、児童相談所などが里親と日頃から積極的に関わっておかなければ、どんな里親がいるかが分からないということになります。しかし、そのアウトリーチをするというのは非常に手間のかかることでありまして、児童相談所に対しては負担が非常に大き過ぎると思います。  そこで、里親支援専門相談員──里専と言われている方たちですが、その方を活用して、県内の里親の受入れ可能状況や、それぞれの里親のスキルを含めて常に情報を集約し、マッチングのための交流頻度の増加、里親のレスパイト、困難事例への側方支援、里親の負担軽減とスキル向上を積極的に図るべきと考えます。木内厚生部長の所見を伺います。  乳児院で養育している乳児を実親から切り離すことはなかなか困難です。  3月の議会のときにも、乳児期の里親委託について御質問させていただきました。委託率はこの10年で9%から22.9%に上がったと答弁されました。しかし、委託率の上昇は評価しますけれども、冷静に考えると100%に至るのはいつのことやらという感じであります。  塩崎元厚生労働大臣は、政治家を辞められてから里親に登録をされました。彼は、この2022年には里親委託率75%を目指すと言っておられました。しかし、実現には程遠いと考えています。  大人の都合でもたもたしている間に、子供の脳は毎日成長していきます。子供の育ちを優先し健常な脳発達を促すためには、短期間であっても里親に委託すべきだと思います。  愛知県では、乳児院の子供への実親の面会頻度をチェックして、面会間隔が一定以上過ぎた、なかなか会いに来ないという場合には、里親での養育に切り替え、実親との関係を並行させながら育児支援を行うやり方──愛知方式と呼んでおりますが、これに取り組み、里親委託率の向上を達成しています。  愛知方式を取り入れるなど積極的な里親委託に向けてどう取り組むのか、現状での里親への切替えの富山県内での基準と併せて、木内厚生部長に伺います。  これまで質問してきたように、精神科受診やワクチン、里親委託など、親権者と子供の権利が相反する場合、あるいは虐待通告時に刑事裁判を見据えた初動を行うかどうか、これは非常に判断が難しいと思いますけれども、この判断を行うときには親権者との間に必ず摩擦が伴います。その交渉を行うのは、児相の職員にとっては非常に心も体も負担が大きいはずです。しかし、児相にとって安全運転をしているようでは子供の権利を守れないという可能性があります。  法律の専門的知識を持つ弁護士が日常的に関わることで、子供の権利を最優先とする一歩踏み込んだ措置や養育を行うことができるという好事例が全国では報告されています。しかし、弁護士が非常勤の場合は、職員が相談をすることに遠慮やタイムラグが発生し、有効に活用されにくいと聞いています。  職員の負担軽減と子供の権利の保障の観点から、児童相談所に常勤弁護士を配置すべきと考えます。木内厚生部長の御所見を伺います。  普通級に通学している発達障害の疑いのある子供たちは、その多くがトラウマ、愛着障害、発達障害が重なった状態にあります。背景としては、貧困、虐待、精神疾患、あるいは親が精神疾患を持っているためのヤングケアラーというのが非常に増えています。そして、よく見ると兄弟も同様に未診断の発達障害であったり、同じようにケアラーであったりなど、どこから関わればいいのか分からないというような非常に困難な事例が増えています。  現在、学校巡回指導員が、ケースを分析して連携のアドバイスを行い、多様な支援先との連携をコーディネートしていると理解しています。こういう複雑なケースというのは、スクールカウンセラーなのかスクールソーシャルワーカーなのか判断がつかないという現状にございます。しかし、この学校巡回指導員の人数が減らされていると聞いています。  学校巡回指導員は専門性の高い業務ですが、報酬は時給2,000円です。なりわいとしては見合わないため成り手がいないとも聞いています。ますますニーズが高まっている状況ですので増員が必要と考えますが、学校巡回指導員の確保と増員にどう取り組むのか、荻布教育長に伺い、この項目を終わります。 40 ◯議長(渡辺守人君)木内厚生部長。    〔厚生部長木内哲平君登壇〕 41 ◯厚生部長(木内哲平君)まず、児童養護施設措置入所者の私立高校の授業料等に要する経費についての御質問にお答えをいたします。  児童養護施設等に入所する児童の生活費等については、措置費として当該施設に支弁をされ、県もその2分の1を負担しています。このうち高等学校に在学中の児童が入所する施設に対しては、授業料のほか、教材学習費や学習塾を利用した場合にかかる経費についても措置費で支弁されています。  また、これに加えて授業料については、文部科学省の高等学校等就学支援金制度によりまして、国立、公立、私立を問わず、一定の所得要件等を満たす場合には、返還不要の授業料支援を受けることが可能となっています。  文部科学省が平成30年度に行った子供の学習費調査によりますと、全国の私立高等学校において、授業料、通学費及び制服を除く学校教育のために各家庭が支出した経費の月額平均は約3万2,000円、学校外の活動に関し各家庭が支出した経費の月額平均は約2万900円となっております。これは、いずれも国の定める措置費の月額単価上限額とおおむね均衡しているところです。  このため、措置費の上限を超える費用について県で補填をすることは難しいと考えますけれども、今後とも、児童が自ら希望する高等教育が受けられるよう、児童養護施設の学習支援の取組などを支援してまいります。  次に、親権者同意についての御質問にお答えをいたします。  児童福祉法では、一時保護や児童福祉施設への入所措置が取られている子供について、その生命または身体の安全を確保するために緊急の必要があると認める場合には、親権者の意に反しても、一時保護中の子供の場合には児童相談所長、入所措置中の子供の場合には児童福祉施設の施設長が、必要な措置を取ることができるとされています。この規程に基づきまして、子供に必要な医療を受けさせることが可能となっています。  また、予防接種につきましても、予防接種法に基づく実施規則におきまして、親権者から文書による同意を得るとされている一方で、親権者の同意の有無が確認できない場合は、子供本人の意思を尊重しつつ、児童相談所長等が親権者に代わって同意することができるとされています。  児童相談所及び児童養護施設では、こうした法令の趣旨を踏まえて、親権者の同意を得るよう努める一方、同意の有無が確認できない場合には、子供本人の意思を尊重しながら受診や接種に努めております。  今後とも、入所する子供が適切に医療や接種を受けられるよう取り組んでまいります。  次に、里親支援についての御質問にお答えをします。  児童養護施設等に配置される里親支援専門相談員は、児童相談所等と連携をしまして、相談員が所属する施設の入所児童の里親委託の推進、退所児童のアフターケアとしての里親支援、所属施設からの退所児童以外も含めた地域支援としての里親支援を行うものです。  本県でも、一部の児童養護施設で里親支援専門相談員が配置されています。施設養育から里親養育になった子供や家庭への継続的な支援や、里親研修会や里親同士の交流の場への参加、施設での里親養育実習の企画運営など、里親に対する支援や資質向上などに取り組んでいます。  県でも、乳児院の指定管理者である日本赤十字社富山県支部が運営する里親支援機関事務局におきまして、里親制度の普及啓発、里親への研修や養育トレーニング、委託後の里親の相談支援などを切れ目なく行い、里親による継続的な養育を支えています。さらに、本年4月には児童相談所に里親支援を含む地域支援を担当する課を設置しまして、里親への支援体制を強化したところです。  今後とも児童相談所、里親支援専門相談員及び里親支援機関事務局が連携協力し、研修やマッチング、養育支援など里親支援に総合的に取り組んでまいります。  次に、乳幼児の里親委託についての御質問にお答えをいたします。  県では里親委託を推進するため、富山県社会的養育推進計画に基づきまして、里親制度の普及啓発、里親に対する研修や相談対応などに取り組んでいます。  議員からも御指摘ありましたとおり、この計画でも、愛着形成など子供の発達ニーズから乳幼児期を最優先として里親委託を推進することとしています。  乳幼児の里親への措置に当たっては、子供の健康状態や家庭の状況、里親の養育スキルなどを総合的に検討しまして、個別の実情に応じて措置を決定しています。このため、一律の措置基準は設けていないところです。  愛知県におきましても、この養子縁組による養育に親権者が同意をしていない場合につきましては、同様の決定であるというふうに聞いております。
     今後とも里親のリクルート、研修、マッチング、養育支援等の一連の業務に総合的に取り組みまして、里親委託の推進に努めてまいります。  最後に、児童相談所の体制についての御質問にお答えをいたします。  児童相談所への弁護士の配置につきましては、令和元年の児童福祉法の改正によりまして、配置または配置に準じる措置を講じることとされ、本年4月に施行されたところです。  本県では、里親委託や施設入所措置について親権者の同意が得られずに家庭裁判所の承認を得る場合など、法的な対応が必要な事案について適切に対応するため、各児童相談所において相談契約により弁護士を配置しまして、月1回定期的に相談するほか、必要な場合には随時相談をする、そういった体制を確保しています。  先日、児童相談所による一時保護開始の判断に関して、司法審査を導入することを含む児童福祉法の一部改正法案が可決成立いたしました。  県としては、こうした国の動向を注視し、また、他県における弁護士の配置状況や活用状況、連携の在り方について研究するなど、弁護士による指導や助言の下で円滑に業務を遂行できるよう、適切に対応してまいります。  以上でございます。 42 ◯議長(渡辺守人君)荻布教育長。    〔教育長荻布佳子君登壇〕 43 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、学校巡回指導員の確保と増員についての御質問にお答えいたします。  学校巡回指導員は、特別支援教育の推進のため、個別の教育支援計画の作成や活用、合理的配慮の提供、また、児童生徒、保護者との合意の形成に向けた指導助言などを行うために、小中学校巡回指導員は東西の教育事務所に各1名、高等学校巡回指導員は総合教育センターに2名配置をしております。  小中学校における特別な支援が必要な児童生徒の増加に伴いまして、急増している通級指導教室の担当教員の専門性の向上を図るということを目的としまして、令和2年度からの2年間は各教育事務所に巡回指導員を1名ずつ増員をし、全ての通級指導教室設置校を巡回して指導助言するということといたしまして、2年間で延べ388校の支援に当たってまいりました。  児童生徒一人一人に最も適切な教育や支援を切れ目なく行うためには、県や市町村の教育委員会が主体となって、学校、家庭、地域などの関係機関が連携した特別支援教育体制の整備が必要なことから、そうした体制整備に向け、今年度は2名の小中学校巡回指導員の勤務日数を大幅に増やし、市町村教育委員会やモデル校の実情やニーズに応じ、関係機関との連携や指導体制などについて助言を行っております。  特別支援教育の充実のほか、様々な背景を持つ子供の支援など、学校が抱える課題はより複雑化、困難化をしております。学校巡回指導員の配置の在り方については、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門職の活用や、福祉などの関係機関との連携の充実など、学校がチームで組織的に特別支援教育などの諸課題に対応する体制の整備状況を踏まえ、また、市町村教育委員会の御意見もお聞きして、見極めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 44 ◯議長(渡辺守人君)種部恭子君。    〔9番種部恭子君登壇〕 45 ◯9番(種部恭子君)最後に、持続可能な医療について2問お伺いいたします。  地域医療構想による医療機能分化とダウンサイジングは、持続可能な医療のために必須だと思います。  私は、過労死ラインが当たり前という産婦人科医を30年間やってまいりました。いつもぎりぎりの人数の環境で勤務をやっていました。30年間の勤務医生活の10年目、連続72時間勤務の後、応援を要請された医療機関に向かう途中で交通事故を起こしました。  2024年、医師の働き方改革が実行される秒読み段階にもう入っていますが、これを実行しなければ、地方都市で若い医師を確保することは困難です。このような環境でもう働きたくないという若い先生が多いです。  また、私も勤務医生活15年目のときに、医療政策の転換のあおりを受けて、卒業したての新人が夜勤に入らざるを得なくなった日に医療事故を経験しました。人事は、ただ数が合えばいいというものではなくて、医療安全そのものです。人の命がかかっている話でありまして、そのためには再編統合と集約化による厚い人材配置は、止めることなく進めていただきたいと願っています。  国は、公立病院経営強化ガイドラインで、令和4年から令和5年に地域医療構想と整合的な公立病院の経営強化プランを策定するように求めています。すなわち地域医療構想は止めないで実行しろということだと思います。  医療計画で5疾患5事業に感染症を加える場合には、感染症というのは不採算部門でありますので、非課税で多額の補助金を投入できる公立病院が、この感染症を担うしかないというのは十分承知をしております。  コロナを経験して、パンデミックに備えて病床を確保しておかなければ心配だという県民の声、そういう主張が聞かれたりすることもありますが、たとえ呼吸器やECMOがあっても、それを回す人がいなければ何の役にも立ちません。  急性期病床の数を維持するのではなくて、地域ニーズに合った病床への転換を図りつつ、新興感染症に即時対応できる感染症専門医を養成することが、まず一番先にやるべきことではなかろうかと思います。病床機能を即時に上げることができる、いわゆるパンデミックレディな形とするのが持続可能で現実的な形だと思います。  感染症専門医の育成への取組と、地域医療構想及び公立病院の経営強化プランの目指す姿について、新田知事にお伺いいたします。  パンデミックなどの医療ニーズや診療報酬改定に適時対応するためには、必要な人材が見つかったときにすぐにポストを設けなければ、その方をキャッチすることはできません。柔軟で機敏な人事が必要だと思います。  昨年11月の一般質問で、県立中央病院及び県リハビリテーション病院・こども支援センターを合わせて独立行政法人化することを求めたところ、検討中と答弁されていましたが、一体どこまで検討されたのでしょうか。  2年後に医師の働き方改革は実行年になります。この2年間で、県内の医療の形は大きく変わります。医療機関で人材の取り合い競争が激化している、そんな状況の中に今あるということは分かっていらっしゃるかと思います。  独立行政法人化により、財務、職員定数、人事などで弾力的な経営ができれば、結果的に医師や看護師の確保が期待できますけれども、独法化の検討だけでも長い時間がかかることを考えると、いい人材をキャッチするための争いにおいては既に遅れを取っていると思っています。公立病院経営強化ガイドラインでは経営形態の見直しの検討も求めているところであり、県中と県リハの独法化については、遅くても公立病院経営強化プランで検討すべき課題と考えます。  本県の医療提供体制に大きな影響を与える医師の時間外労働の上限規制が秒読みに入っている段階において、独法化検討の取組の進捗状況と併せて、公立病院経営強化プランで独法化を検討することについて、民間の感覚をお持ちでスピード重視してこられた新田知事に前向きの答弁を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。 46 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 47 ◯知事(新田八朗君)まず、地域医療構想についての質問にお答えをします。  新型コロナ対応を踏まえた今後の医療提供体制につきましては、第8次になりますが、次期医療計画の内容に新興感染症などへの対応を追加するとともに、地域において質の高い医療提供体制を維持するため、地域医療構想の取組を着実に進める方針ということが、国から出ています。  具体的には、病床削減や統廃合ありきではなくて地域の実情を踏まえること、今回のコロナの感染拡大により病床の機能分化・連携などの重要性が改めて認識されたことを十分に考慮すること、そして、議員も御指摘の2024年度から医師の時間外労働に対する上限規制が適用されることについて十分留意することなど、地域医療構想の進め方や留意点が示されました。  本県としては、こうした国の考えも踏まえながら、新興感染症への取組や働き方改革にも柔軟に対応できる、持続可能で良質な医療を提供する体制の構築を目指し、県内4つの医療圏ごとに地域医療構想調整会議を開催し、議論を始めたいと考えております。それに向けて、いきなり会議をやってもなかなか実効性が上がらないと考えまして、現在、公立・公的病院を1件1件訪問しております。そして、現状の確認や御意見を伺っているというところです。  また、感染症専門医につきまして、新興感染症などの拡大時を想定して、平時から専門人材の育成が重要だということは御指摘のとおりです。専門医の取得のためには、日本感染症学会が認定する施設での研修が必要となります。県内では、富山大学附属病院をはじめ4つの病院が認定を受けております。これらの病院や関係機関とも協力をして感染症専門医の育成確保に努めるとともに、新興の感染症に対応する病床をどう確保するかも協議をしてまいりたいと考えます。強化プランにつきましては、次の質問でも触れたいと思います。  県立中央病院などの地方独立行政法人化についての御質問にお答えします。  本年3月に、総務省から公立病院経営強化ガイドラインにおいて示された公立病院経営強化プランについては、持続可能な地域医療体制を確保するため、地域の実情を踏まえながら、地域医療構想などと整合性を図りながら、病院の果たすべき役割や機能、医師や看護師等の確保、それから働き方改革、また最適な経営形態についても検討し、病院に必要な経営強化の取組を令和5年度までに策定することとされています。  各病院において策定されるプランは、地域医療構想における具体的な対応方針として位置づけられるものであることと考えております。  先ほども述べましたが、今年度開催する予定の地域医療構想調整会議において、まずは各病院が担う役割や機能について丁寧に議論を行う必要がある、これが出発点だと思います。その上で、御指摘の県が運営しております両病院についても、医療の質の向上や経営の持続に向けた最適な経営形態について検討を進めていくことになると考えております。  ちなみに現在の経営形態は、県立中央病院が地方公営企業法の一部適用、財務規定のみ適用しているという状況です。それから、県リハビリテーション病院・こども支援センターは指定管理者制度、利用料金制ですが、こういう経営形態であるということであります。  地方独立行政法人化については、昨年の11月の議会でもお答えしましたとおり、昨年度、庁内の勉強会を設置しました。他県の事例をヒアリングするなどの取組を実施してきたところです。  今後の経営強化プランの策定に当たっては、この2つの病院にとってそれぞれの経営上の課題の整理と併せまして、最適な経営形態を考えることになるというふうに思います。  経営形態を変えれば物事が変わるというものではないと私は思っています。仮に、両病院について地方独立行政法人という経営形態を選んだ場合、やっぱり大切なのは、その経営する人材なんですね。経営形態を変えても、ふさわしい経営ができる人材がいないことには実効が上がらないということになります。そのあたりも、果たしてそういう人材を確保できるかどうかということも、私は大切なポイントだというふうに考えております。  以上です。 48 ◯議長(渡辺守人君)以上で種部恭子君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。  午前11時51分休憩       ───────────────────  午後1時00分開議       ─────────────────── 49 ◯副議長(瘧師富士夫君)休憩前に引き続き会議を開きます。  澤崎豊君。    〔3番澤崎 豊君登壇〕 50 ◯3番(澤崎 豊君)自民党新令和会の澤崎です。  後ろの背景も変わりまして心機一転、今日は新緑が大変目にまぶしい日となり、美しい青空が広がっておりますが、同じ空の先、9,000キロ先のウクライナでは、先ほどの昼のニュースでも見ておりましたけれども、多くのウクライナの国民が苦しんでいる、そんな惨状を見るにつけ、大変心が痛んでおるところでございます。ただただ一日も早い終息を願う、そんな気持ちでございます。  さて、「百聞は一見にしかず」「一見は百聞にしかず」の言葉のとおり、県政の喫緊の課題に真摯に向き合い、現場に出向き、そして現場を見て、たくさんの話を聞いてまいりました。そんなことを踏まえて今議会の質問にまとめてみました。まだまだ力不足ではありますが、県民の代表者としてしっかりと質問をさせていただきます。  まずは1番目のテーマ、様々なウエルビーイングについてであります。  午前中の井上議員同様、私も新田知事の発言を議事録から数えてみました。昨年度1年間、6月定例会から今年の2月定例会までで、「真の幸せ(ウエルビーイング)」というワードは50回、関連した「成長戦略」というワードは70回、合わせて120回発言され、回数から見てもウエルビーイングが重点目標であるということがうかがえます。  また、本年度事業において、ウエルビーイングの実現に向けた具体的な施策としてアクションプランに位置づけた事業は154事業もあり、県民のウエルビーイングの向上こそ県政の目指す一つの道でありましょう。  では、関連して5問質問いたします。  まず初めは、県庁職員のウエルビーイングです。  デジタル技術を活用することにより、仕事の質が高まり、生産性向上や業務の効率化につながっているものと考えますが、急速に広がったテレワークやデジタルトランスフォーメーションは形ばかりで、アナログな働き方の見直しが追いついていないのでないか。かえって生産性を落とし、情報漏えいも含めたヒューマンエラー等が頻発するといった懸念もあるのではないか。  県庁における職員の平均時間外労働時間、平均年休取得日数、オンライン会議利用状況並びに1人当たりの件数などの現状を踏まえて、今後どのようにデジタルを活用した働き方改革による職員のウエルビーイング向上を進めていくのか、三牧知事政策局長にお伺いいたします。  次に、高校教育についてであります。  去る5月20日に、県議会による政策討論委員会が開催されました。討論テーマは「高校の今後の在り方」。これまでの成績や偏差値などで進学先を決定する方法に、多くの委員から懸念が示されたところでありました。  そこで、将来を見据えると、令和10年3月にも本県の中学校卒業予定者数が8,000人を切る見込みであることから、県立、私立、全日制、定時制、通信制などの枠にとらわれず、垣根を越えて産業界などとも連携し、部局横断的に議論を深めるなど、全県的に高校の適正配置に向けた検討を行い、早急にダイナミックな高校再編を示すべきと考えますが、新田知事の所見をお伺いいたします。  続いて3問目は、パワハラなき社会の実現に向けてであります。  パワハラは、働く人の心身の不調を招き、休職や退職、最悪の場合には自殺にまで追い込んでしまいます。退職されて職場を離れても、なお心の傷が癒えない方の話も聞きます。  本年4月1日から、改正労働施策総合推進法、通称パワハラ防止法により、中小企業に対する職場のパワハラ防止措置が義務化されましたが、その内容は予防的なものであり、違反した際の罰則がないのが心もとないところであります。  一日も早く県内のあらゆる事業所から重大な人権侵害であるパワーハラスメントをなくすために、県としてどのように取り組むのか、中谷商工労働部長にお伺いいたします。  続いて4問目は、我が会派の代表質問でも触れましたが、「富山の生き方、創造拠点。」としてこの秋オープンする富山県創業支援センター及び富山県創業・移住促進住宅、愛称「SCOP TOYAMA」についてであります。まさしくこの施設が、富山のウエルビーイングの拠点施設になり得ると予感をしております。  先日、富山県もメンバーとなっている渋谷キューズを視察しました。よくある創業支援センターではなく、年齢や専門領域にとらわれず、個人、グループが持つ問いや課題にプロジェクトとして取り組む熱い拠点となっていました。学生、大手企業、ベンチャー企業、自治体など、多種多様な人々によりコミュニティーが形成され、ニュームーブメントが起きつつありました。運営スタッフをしているディレクター、コミュニティーマネジャー、コミュニケーターがその後押しをしているのであります。そういうキーマンが大事なのだと感じました。  そこで、SCOP TOYAMAの管理運営体制について、どんなものになるのか知事政策局長にお伺いいたします。  この項の最後は、新川こども施設についてであります。  先週、ショッキングな報道がありました。厚労省の人口動態調査によると、昨年の出生数は過去最少の81万1,604人。6年ほど早く少子化が進行し、県内においても同様、過去最少の6,076人。建設予定地の魚津市の出生数は216人。少子化と人口減少が一段高いステージで進行しております。  さてさて、この先日本、富山県は、この少子化、人口減少問題にどう対応していくのか。人口減少を止める方策はあるのか。今、はっきりしているのは、手をこまねいているうちに、この国は人口減少という巨大な渦の中に沈み続けていくということであります。そこで、子育て環境の一層の充実が切に求められているわけであります。  新川地区の要望を踏まえて、子供の非認知能力や運動能力の向上に資する、雨天時でも利用できる子供施設計画が出てはや3年。本年度は、民間活力導入の可能性調査が予定されています。  私は先般、2018年11月にオープンした山形県鶴岡市の全天候児童施設「キッズドームソライ」を視察してきましたが、施設そのもののデザインもさることながら、何より、館長をはじめとする多様なバックグラウンドを持つ運営スタッフ、そして地元の企業や教育機関との地域連携、柔軟な発想による日々のアップデートというシステムそのものが成功の鍵だと実感してまいりました。  子育て世代のみならず多世代の方から、所期の目的を果たすには一日も早い着工整備を望む声が私の元に届いております。  巧遅は拙速にしかず、何とか前倒しができないものか、施設整備に向けたスケジュールと併せて南里地方創生局長に、意気込み、所見をお伺いいたします。  2番目のテーマは、GX(グリーントランスフォーメーション)。  IT技術の進歩により、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進行しているように、同じように環境への取組を推進する新たな構想として重要視されているのがGX(グリーントランスフォーメーション)です。その推進には、富山県らしく、海づくりと山づくりを一体的に捉えて、漁業や林業といった産業の活性化を図りながら進めていくことが重要なのであります。  では、関連して6問お聞きいたします。  まずは養殖漁業についてです。  静穏な内湾や入り組んだリアス式海岸など、波浪が穏やかな海域に恵まれていない富山湾では、ブリ類、クロマグロ、銀鮭等の人気魚種の魚類養殖に適したところは必ずしも多くはありません。しかし、例えばガゴメコンブの養殖であれば、11月に種づけをして翌4月、5月に収穫できることから、漁業者の安定した副収入となり得ると考えております。  ましてや、富山の食文化に溶け込んでいるのが昆布です。全国的に、とる漁業からつくり育てる漁業への転換が求められており、本県では定置網を利用した昆布養殖に可能性があるのではないでしょうか。  しかし、そのためには、漁業者と水産研究所研究員との連携、あるいは水産業普及指導員等の人的支援が必要と考えます。横田副知事の所見をお伺いいたします。  次に、藻場造成についてです。  日本各地の漁場と同様、富山湾の水産資源、漁獲量は、水温上昇など地球温暖化による気候変動により減少してきております。まずは海の豊かさを取り戻すことが必要であります。  温暖化対策には大きく分けて2つの方法があり、これから排出する二酸化炭素を減らす対策と、既に出してしまった二酸化炭素を吸収、回収する方法であります。  海藻は、成長する際に二酸化炭素を吸収します。そういった生態系によって貯蔵される炭素が海底の砂泥に堆積したり深海に輸送されたりして、炭素の貯留庫となります。それが、近年注目されているブルーカーボンと呼ばれるものであります。  海藻がつくる藻場は、温暖化対策のみならず水質を浄化し、海洋生物の産卵、そして保育場として富山湾の生物多様性を支えるものと考えますが、沿岸藻場造成についての知事の所見をお伺いいたします。  次は、漁業者支援についてです。  漁業経営の経費削減の一つとして、ペンキなどで船底を塗装し直すことにより、船体抵抗の軽減、海水との摩擦抵抗を減らすことができます。一定の省エネ効果があると言われております。  そこで、県が積極的に船底の再塗装などを勧めて補助金により支援をすることも考えられないものか。コロナ禍で魚価が低迷し影響を受けているさなか、原油、資材価格の高騰は零細な漁業者にとって死活問題であり、漁業者の経営を直撃しています。  富山の食を守り、富山湾の持続可能な漁業を維持する上で、漁業者への継続的な経営支援が不可欠であります。県として具体的にどのように経営支援に取り組むのか、堀口農林水産部長にお伺いします。
     次に、木材利用の促進についてであります。  古来、日本は木の文化圏であり、木造建築物の国であると私は認識しております。平成22年の公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、富山県公共建築物等木材利用推進方針が策定されて以来、公共建築物の床面積ベースの木造率は上昇している状況であります。  他方、公共建築物のみならず、民間建築物においても、法律改正が行われ、建築物一般に木材利用促進が図られています。横浜の関内には、使用した木材が森林4.5ヘクタール分になる木造11階建てビルが完成し、私も先日現地に行き建物を見て感動してまいりました。県内においても、北陸地方では初となる6階から7階建て木造中高層集合住宅の建築が予定されていると報道されています。  従前、耐火、耐震に課題があり、大規模建築物から木造は排除されてきましたが、これからはカーボンニュートラルや外材依存からの脱却をして、地元の木が主役のまちづくりに移行していくべきであると考えますが、大規模建築物における木材利用の加速化に向けて県としてどのように取り組むのか、農林水産部長にお伺いします。  次に、森林、林地内の路網整備についてであります。  ウッドショックは、改めて国産材、県内林業に目を向けるきっかけとなっています。もともと、富山県は伏木富山港を中心に北洋材の集積地であるために、製材業者はわざわざ搬出コストがかかる県産材に手をつけなかったとも聞いています。しかし、今回のウッドショックにより本格的に県産材利用への大きな転機となっています。  ただ、現状では路網を整備しなければ現場には入れない場所が多く、切った木の置場にも困るありさまであると聞いています。林内土場の整備も必要でありましょう。また、路網の整備が難しい場所などは、索道などによる搬出方法も考えられるでしょう。  ウッドショックにより県産材の引き合いは強くなっています。森林作業道の整備、改良を喫緊の課題として捉え、路網等のインフラ整備に向けて県としてどのような支援を行うのか、農林水産部長にお伺いします。  続いて、林業従事者の労働力確保についてです。  県において、林業カレッジや緑の雇用により、定着率に課題はあるものの、林業就業者の減少に歯止めがかかり、また平均年齢の若返りも見られ、人材育成や担い手確保に一定の成果が出ています。しかし、今後の木材需要を考えると、まだまだ安定的な人材確保対策が喫緊の課題であると思われます。もちろん、中長期的には、給与が低い、作業が危険、仕事はきついなどの3K職場からの脱却が必要不可欠であり、若者や女性に魅力ある産業になるべくスマート林業に向かうべきではありますが、短期的には、農業や水産業と同様、林業分野においても積極的な外国人材の活用が必要であり、その一つとして外国人技能実習制度を活用することが労働力の確保につながるものと考えます。  県内の林業分野での外国人の雇用実態と、外国人技能実習生の受入れに対する課題とその支援の在り方について、農林水産部長にお伺いいたします。  それでは、最後のテーマの県土の空間管理の視点から3問質問いたします。  まずは港湾についてです。  私の地元の魚津港は、砂、石などの骨材の積出し基地や水産品の水揚げ基地であり、新川地方の中核漁業基地として発展してきた経緯があり、地域としては大変重要な拠点であります。  近年、魚津港北地区港内における泊地の静穏度が悪化し、港湾利用者から、係留している船舶がダメージを受けているとの声を聞きます。  船舶の停泊、係留の安全性を確保するための静穏度対策にどのように取り組むのか、市井土木部長にお伺いいたします。  次は、有害鳥獣の管理、捕獲体制についてです。  人間と野生鳥獣とが共生していくためには、人里との緩衝帯造成のための里山林の整備や、野生鳥獣の生息環境の保全につながる混交林の整備などにより管理していくことも重要でありましょう。また一方で、捕獲体制の強化も県民の安全・安心のために必要なことであります。  そこで、迅速な警察との連携、対応のためにも、身体頑強で業務上銃器の扱いに慣れている警察官に狩猟免許取得を推奨し、市町村の有害鳥獣捕獲隊員になってもらうことが一つの有効な対策であると考えられます。  本年3月末に、第二種特定鳥獣管理計画として、富山県ツキノワグマ管理計画など5種の計画を改定したところでありますが、今後、有害鳥獣の管理、捕獲体制の強化に向けてどのように取り組んでいくのか、廣島生活環境文化部長に所見をお伺いいたします。  最後になりました。最後は、県営林の主伐後についてお聞きいたします。  「無花粉のたてやますぎを植ゑにけり患ふ人のなきを願ひて」。富山県で開催された第68回全国植樹祭での御製です。「立山 森の輝き」をお手植えされました。  県産材の木材需要の高まりにより、今後、県営林の主伐が加速すると考えられます。令和4年度の県営林の売却予定箇所も発表されており、4か所4団地22.1ヘクタールです。  伐採後の森林管理は土地所有者の管理となり、保安林でも原則所有者が植栽をしなければならず、私有林の場合、たとえ6対4なりの分収益があったとしても、その後の手入れ管理等が大きな負担となります。  「伐って、使って、植えて、育てる」のサイクルを回すためには、水と緑の森づくり税などを財源として、森林組合や素材生産業者にも仕事となるような仕組みづくりが必要でありましょう。  また、森林総合監理士の資格等を持つ林業普及指導員等による技術的なアドバイスがなければ荒廃地となる可能性もあることから、県として伐採後の再造林にどのように取り組むのか知事にお伺いし、質問を終えます。  御清聴ありがとうございました。 51 ◯副議長(瘧師富士夫君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 52 ◯知事(新田八朗君)澤崎豊議員の御質問にお答えします。  まず、高校再編計画についての御質問にお答えします。  本年3月をもって、泊高校、水橋高校、高岡西高校、そして南砺福光高校が閉校となり、それぞれの歴史に幕を閉じたところであります。青春の頃の思い出がたくさん詰まった学び舎でありますから、卒業生のお気持ち、また関係の地域の皆さんのお気持ちに思いをはせるものであります。  議員御指摘のとおり、今後も少子化の進行によって中学校卒業予定者数が減少を続け、令和10年3月にはその数が8,000人を切る、そしてその後も減少が見込まれる、そんなことから、将来展望に立った高校の在り方について、多面的そして多角的に検討することが必要だというふうに考えています。  教育委員会において昨年度より、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会を設置いたしました。産業界の関係者、私立高校の代表も含めた委員の方々から、県立高校の職業科、普通科、総合学科、さらには定時制、通信制の課程の在り方について御意見をお聞きしております。今年度は、生徒や保護者、企業などを対象にニーズ調査を実施し、その結果も踏まえた上で、魅力ある学科や教育内容について引き続き検討を進めると聞いております。  また、これまでも、富山県公私立高等学校連絡会議におきまして、私立高校を含めた本県全体の高校教育の発展充実に向けて、部局を超えて協議をしてきております。  こうした検討委員会などでの議論を踏まえた上で、やはり大切なのは、今、学び、そして未来を生きる一人一人の生徒たちであります。彼ら彼女らにとってどのような高校教育が望ましいのかを第一に考え、学校の配置・規模などの基本的な考え方を含めた高校の在り方についても、幅広くそして丁寧に議論を進め、本県の高校教育の充実に取り組んでまいります。  次に、海のGX、富山湾における藻場造成についての御質問にお答えします。  藻場はいわゆるブルーカーボンとして、二酸化炭素の吸収源となるだけではなく、海洋生物の産卵や生育の貴重な場となっており、富山湾に生息する500種類以上の魚類などの生物多様性を支える重要な役割を担っています。  県ではこれまで、沿岸市町と連携し、藻場の造成を進めていますが、県東部の沿岸ではウニなどの食害により、一部で藻場の衰退なども確認されているところです。  このため、水産研究所において、平成22年からアカモク──地域によってはナガラモと言います。食用のものです──アカモクの藻場造成の技術開発を魚津市沖で進めてきたところです。昨年5月には、藻場の面積が4ヘクタールまで拡大していることが確認をされました。  この成果を踏まえて、昨年度からは新たに、ところてんの材料となるテングサなどの藻場造成について、魚津市と滑川市の沖合の2か所で実証試験を進めています。また、県内漁業者から要望のある食用の希少種であるクロモなどの技術開発にも着手をしています。  議員御指摘のとおり、日本海や富山湾の水温が100年間で約1度以上の上昇が確認をされていまして、近年ではブリなどの回遊経路の変化──北海道でよく取れたという話を聞きました。それから、暖水性の魚類が漁獲されるなど海洋環境の変化が見られています。  富山湾における藻場の造成、また海藻の養殖の取組は、SDGsの目標の一つであります海の豊かさを守る取組であり、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するとともに、漁業経営の安定化にもつながるものと理解をしています。  今後も、豊かで美しい富山湾を次の世代にしっかりと引き継げるように取り組んでまいります。  私からは最後になりますが、県営林の伐採後の再造林についての質問にお答えします。  県内約4,800ヘクタールの県営林のうち、土地所有者と分収造林契約を締結し、県が経営管理しているのは、杉の人工林を中心に48か所、約2,100ヘクタールとなっています。  県では、県営森林経営計画に基づきまして、契約満了となった森林から順次、民間の林業事業者に立木の売払いを進めておりますが、議員御指摘のとおり、伐採後の再造林や下草刈り等の保育にかかる経費がかさむことから、土地所有者の大きな負担となっています。その認識はしております。  このため県では、各農林振興センターの林業普及指導員が中心となって、土地の所有者に対し、水と緑の森づくり税を活用した優良無花粉スギ、先ほどの御製にもありましたが、「立山 森の輝き」の植栽や、下草刈り等の初期保育を自己負担なしで行える事業の紹介、また広葉樹などの植栽を希望される場合は、造林公共事業の活用を提案するなど、その土地に適した再造林が着実に実施されるように必要なアドバイスを行っています。この結果、平成27年度以降伐採を行った県営林は、土地所有者の理解を得て、全て再造林が進められています。  森林は、県土の保全、水源の涵養などの機能を有しており、将来にわたって持続的に発揮させ林業の振興を図っていくためにも、またカーボンニュートラルの実現に向けても、伐採後の再造林は大変重要なことだと考えます。  県としましては、今後とも、関係者の理解と協力の下、「伐って、使って、植えて、育てる」森林資源の循環利用を、適地適木という考えの下に進めてまいりたいと考えます。  私からは以上です。 53 ◯副議長(瘧師富士夫君)横田副知事。    〔副知事横田美香君登壇〕 54 ◯副知事(横田美香君)私からは、グリーントランスフォーメーションと、お話のありました昆布養殖と普及指導に関する質問にお答えいたします。  水産資源は有限であり、国際的に適切な資源管理が求められております。国でも近年の漁獲量の減少を背景としまして、今年3月に水産基本計画を改定し、適切な資源管理の一環として、稚魚を放流する栽培漁業と養殖漁業、これを推進することとしています。本県では、ヒラメやクロダイなどの栽培養殖、そしてサクラマスやマコンブなどの養殖が行われております。  昆布類に関しましては、生育に冷水が必要でありまして、北海道や青森県が主産地となっています。ですが、定置網を活用して富山湾の冬の半年間で促成栽培ができるよう、水産研究所を中心に技術指導をしております。  特にガゴメコンブにつきましては、生活習慣病の予防に効果があるとされるフコイダンを大変多く含むということで、市場価格も高いということで、漁業者から要望を受けて令和元年度から養殖技術の開発に取り組んでいます。  ガゴメコンブは、本来、比較的海水温が高いこの富山湾では生育が難しいものでございますけれども、令和2年度には低温の海洋深層水を活用して、陸上の水槽で幼体を育成した後、富山湾に移植するということで、商品サイズに養殖できる技術の開発に成功いたしました。昨年度からは魚津漁協などと連携しまして、魚津市、入善町及び朝日町の沖合で実用化に向けた実証試験を進めております。富山湾の味覚の一つとして生産していく可能性を追求していきたいと思っております。  議員御指摘の水産業普及指導員につきましては、本県では水産研究所の研究員と県、そして農林水産公社の水産関係職員、総勢34名おりますけれども、その全員でその役割を担っているという状況でございます。  今後とも、漁業者との意見交換を通してきちんと要望を聞きつつ、栽培方法の検討、情報提供、そして技術指導などを行って、関係者一体となって漁業振興に取り組んでまいりたいと考えております。 55 ◯副議長(瘧師富士夫君)三牧知事政策局長。    〔知事政策局長三牧純一郎君登壇〕 56 ◯知事政策局長(三牧純一郎君)私からは、まず、職員のウエルビーイングの向上についての御質問にお答えさせていただきます。  職員の平均時間外労働時間は、令和3年度は177時間で、平成29年度のピーク時から23時間減少しております。また、平均年休取得日数、こちらも令和3年は12.5日で、近年では最多となっております。また、オンライン会議の利用状況でございますけれども、我々の把握しているZoomを活用した会議等につきましては、コロナ前におきましてはほとんどなかった状況でしたけれども、令和3年度は、月の平均で約280回、延べで約3,000人が利用している状況でございます。  県では、効果的な行政サービスの提供や職員のウエルビーイング向上を目指すため、働き方改革を進めさせていただいておりまして、具体的には、モデル所属において専門家の指導の下、チームで話し合い、働き方の在りたい姿を明確にした上で、課題を洗い出して現状とのギャップを解消するためのアクションにつきまして、業務改善に効果的なデジタルツールや柔軟な働き方を試験導入しながら実施するとともに、DX・働き方改革推進本部を通じた全庁的な業務改善にも取り組んできたところでございます。  先ほどの時間外労働時間、年休の取得状況、Zoomの活用状況を見ますと、少しずつ働き方改革の効果が出てきていると。また、それに資するようなデジタルツールの活用が進んできていると認識しております。ただ、ますますこれから加速していく必要もあると認識しております。  そこで、今年度におきましては、モデル所属における働き方改革を進めて成果の横展開を図っていくとともに、所属の垣根を越えた職員有志による研究室を立ち上げ──こちらはできれば民間企業にも参加を促していきたいと考えておりますけれども、デジタルツールの活用スキルを共有して様々な職場の業務効率化に挑戦していくと。また、県立大学の情報系の学生が職員と共にデジタルツールを活用した課題解決に取り組むほか、ワーキングチームを立ち上げまして、テレワークの前提となるペーパーレス等の取組も進めることとしております。  こうした部局横断の取組であったり、産官学の連携の取組を通して、先ほど議員から御指摘ありましたアナログな働き方を組織の外の方に見ていただくと、そして意見交換していくと、そうした機会をしっかりつくっていきながら、今後とも、最終的には職員一人一人が働き方の現状と課題を自らしっかりと認識して、デジタルツールも効果的に活用しながら、自分たちがありたい姿に近づけるような働き方改革にしっかりと取り組んで、結果として職員のウエルビーイング向上を実現していきたいと考えてございます。  続きまして、SCOP TOYAMAの運営方針、運営体制についての御質問にお答えさせていただきます。  SCOP TOYAMAにつきましては、指定管理者制度を採用させていただいておりまして、指定管理者が民間のノウハウを生かして、施設の管理運営や創業支援などを行うこととしております。  こうした施設の活性化の鍵は、もう議員も重々承知だと思いますけど、人と企業のつながりでございまして、仲間の存在等のネットワークが構築されて、そのネットワークが、キューズでありますように、新たなビジネスや具体的なプロジェクトにしっかりとつながっていくことが重要であると考えてございます。  このため創業支援センターでは、県内ではHATCHであったりSketch Lab、県外では先ほど申し上げた渋谷キューズなど、民間の創業支援施設ともしっかりと連携して、センターを核として、起業家や移住者、そして県内企業、学生、自治体など、多様な人材ネットワークを構築し、新たなプロジェクトにつなげていきたいと考えてございます。  また、起業家や移住者が集い交流していただくために、創業支援センターではアドバイザーを常駐させて、起業家の伴走支援の実施や交流イベント等を開催したいと考えてございます。  また、創業・移住促進住宅のほうでもコミュニティーマネジャーを配置し、シェアハウスを中心ですけれども、良質なコミュニティーづくり、そして魅力ある施設にしていきたいと考えてございます。  県内のウエルビーイングを高めていくためには、県民や事業者のよりきめ細やかなニーズに対応していくことが重要であると考えておりまして、そのためには、県、市町村の取組だけではなくて、県民や事業者に近い官民連携やソーシャルビジネスを含めた共助の取組、そうしたものを促進していくことが非常に大事だと考えてございます。  SCOP TOYAMAでは、多様な人材のつながりから、ウエルビーイングの向上に資する新たなプロジェクトを生み出して、地域が活性化するようにしっかりと努めてまいりたいと考えてございます。  以上になります。 57 ◯副議長(瘧師富士夫君)中谷商工労働部長。    〔商工労働部長中谷 仁君登壇〕 58 ◯商工労働部長(中谷 仁君)私からは、パワハラ防止についてお答えをいたします。  改正労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法につきましては、議員御指摘のとおり、罰則は定められておりませんが、事業者に対してパワハラ防止対策の実施を義務づけ、またパワハラ防止の措置を講じていない事業者に対しては、労働局において厳正な指導が実施されるものと承知しております。  県の労働相談窓口に寄せられる職場の人間関係に関する相談も近年増加傾向にありまして、相談者に寄り添いながら解決に向けたアドバイスを行いますとともに、事案の内容に応じまして、労働局の窓口や司法的な支援を行う法テラスを御紹介しているところでございます。  また、県が昨年7月に行った、中小企業の義務化前の調査ではございますが、パワハラ防止措置を実施している事業所の割合は、大企業ではほぼ全てでございましたが、一方、中小企業では約6割にとどまっており、さらなる啓発が必要であるというふうに考えております。  県といたしましては、これまでも県内企業に対しまして、広報誌「労働とやま」におきまして、パワハラ防止措置の義務化の周知、職場のハラスメント撲滅の啓発を行いますとともに、昨年、企業経営者や労務管理担当者を対象にいたしました労務改善講習会ではパワハラ防止法をテーマに取り上げるなど、企業におけるパワハラ防止対策の実施促進に取り組んでいるところでございます。  また一昨日、7日でございますが、県内の5つの経済団体に対して行いました県と富山労働局との連名によります雇用対策に係る要請の中で、ハラスメントの防止についても要請をしているところでございます。  澤崎議員御指摘のとおり、パワハラにつきましては人権に関わる問題であるというふうに考えておりまして、今後とも富山労働局等の関係機関とも連携いたしまして、ハラスメントのない職場環境づくりに取り組んでまいります。  以上でございます。 59 ◯副議長(瘧師富士夫君)南里地方創生局長。    〔地方創生局長南里明日香君登壇〕 60 ◯地方創生局長(南里明日香君)私からは、新川こども施設に関する御質問にお答えいたします。  議員から今ほど御紹介いただきました山形県のキッズドームソライ、こちらは荻生徂徠の教育理念をルーツにしたコンセプトですとか、充実したワークショップなどのソフト面など民間らしい運営手法、大変面白そうな施設だなというふうに感じたところでございます。  さて、私どもの新川こども施設の整備でございますけれども、昨年度、コンセプトをはじめ、施設の機能や規模、配置等を定める基本計画を策定したところでございます。  この基本計画では、本施設が屋内外を自由に行き来できる空間づくりや、新川文化ホールとの連携による舞台芸術イベントの開催などの子供たちの遊びを促進する機能、親子で参加できるイベントの開催や同伴者も楽しめる遊具の設置などの子育て支援機能、この2つの機能を備えることに加え、施設整備や管理運営面で民間ノウハウを生かした高水準のサービスが提供できるよう、民間企業の参画機会の提供に努めることとされたところでございます。  このため、今年度、民間活力導入可能性調査を実施し、PFI方式や指定管理者制度も含めたPPP方式などの複数の事業手法について客観的な分析を行い、この中で、事業への参加意欲のある民間事業者の存在や意向についても確認するほか、財政負担軽減効果がどの程度見込めるかなども算定し、この調査結果に基づき最適な整備手法を決定することとしておるところでございます。仮にPFI方式を導入する場合は、一般的にはPFI法に基づく事業者選定に2年程度の期間が必要になるとされております。  一方で、昨年度開催した施設整備に係る検討会においても、早期開設を望む声を多くいただいたところでございます。  いずれの整備手法を採用するにしても、今後必要となる手続等の過程で少しでも短縮を図り、なるべく早期の開設となるよう、また、民間ノウハウを最大限生かしたサービスが提供できる施設となって、子育て環境の充実の一助となるよう努めてまいりたいと思います。 61 ◯副議長(瘧師富士夫君)堀口農林水産部長。    〔農林水産部長堀口 正君登壇〕 62 ◯農林水産部長(堀口 正君)まず、漁業者への経営支援についての御質問にお答えします。  最近の国際的な情勢の変化により燃油価格が高騰しており、県内の漁業経営に大きな影響が生じているものと認識しております。
     国では、燃油高騰が一定基準以上の場合に価格上昇分が基金から補填されます漁業経営セーフティーネット構築事業が措置されており、昨年度は総額約1億8,000万円が県内漁業者に補填されております。  しかしながら、この制度の加入には、漁業者と国が1対1の割合で積立金を基金に拠出する必要があり、今後の燃油価格の動向等を考慮しますと、漁業者に大きな負担が生じますことから、加入のための漁業者積立金を支援する事業を6月補正予算案に盛り込んだところです。  議員御提案の漁船の船底塗装につきましては、過去平成20年度から2か年間、燃油高騰の際に県独自で支援した経緯がございますが、翌年平成22年度には、現行の漁業経営セーフティーネット構築事業が導入されまして、利用いただくこととなりました。  加入に当たりましては、漁業者は、加入条件である燃油使用量削減目標を設定することとなっておりまして、その目標達成のため、自主的に船底塗装が一、二年ごとに実施されているとお聞きをしております。  県といたしましては、今後、業者の負担が大きい積立金に対して今回支援をするということとしたものでございます。  また、漁船の省エネ化を進めますことは、漁業経営の安定化を図るためにも重要なことです。省エネ型エンジン等の導入、設置費用に助成する国の支援事業もありますので、こうした支援策を県内漁業者に周知いたしまして活用を促しているところです。  引き続き、漁業経営への影響を注視しつつ、漁業者の皆さんが安心して漁業活動を続けられますよう取り組んでまいります。  次に、大規模建築物における木材利用についての御質問にお答えします。  昭和25年に制定されました建築基準法では、高さ13メートル、一般的に3階建てでございますが、これを超える建築物の主要構造物には木材を使ってはならないというようなことなど、大規模な木造建築物は建築制限がございましたが、その後、耐火性能の高い木質部材の開発や、CLT等の強度のある集成材の普及などによりまして、例えば2時間耐火構造であれば14階までの高層建築が認められるなど、木材使用の範囲が拡大してきております。  県内では、平成31年3月に県内初のCLTを構造材とした県立大学学生会館、また、令和2年1月には、魚津市で全国初の木造3階建ての小学校が竣工しております。  こうした中、昨年10月の改正木材利用促進法では、その対象が民間建築物を含む建築物一般に拡大されたほか、12月には、民間企業で北陸初となる6階から7階建ての木造集合住宅の県内での建設計画も発表されております。  県といたしましては、新たに民間施設でのモデル的な県産材利用に助成しますとともに、とやま県産材需給情報センターと連携いたしまして、必要となる県産材の調達や供給に取り組むこととしております。また、設計士を対象とした研修会等において、県内をはじめ、全国の大規模木造建築物の事例等も積極的に情報提供し、その普及に努めていきたいと考えております。  昨今の外材供給が不透明さを増す中、本格的な利用期を迎えた県内の森林資源の循環利用を進めますことは、SDGsの取組を推進し、カーボンニュートラルの実現にも寄与するものです。  今後とも、大規模建築物を含めた県産材のさらなる需要拡大と安定供給体制の整備に取り組んでまいります。  次に、路網等のインフラ整備についての御質問にお答えします。  昨年3月頃から、いわゆるウッドショックが続いている状況に加えまして、今般のウクライナ情勢の影響もあり、外材から県産材への転換、県産材の安定的、持続的な供給体制の構築が求められており、その生産基盤となる森林作業道等の整備が急がれております。  こうした中、県では、令和8年の県産材利用目標を、令和2年の1万7,000立米増となる14万5,000立米に引き上げ、出材を促進していくこととしており、国の交付金等を活用いたしまして、必要となる作業道の開設や改良、山土場の設置などを計画的に進めていく予定です。  議員御指摘の森林作業道につきましては、高性能林業機械等が走行できる幅員3メートル程度の簡易な構造でありますけれども、地形、土質等の条件に応じて安全に作業ができ、搬出コストの低減につながる線形、配置が求められております。  このため、林業カレッジにおいて、引き続き現場技能者を対象とした技術研修を行いますとともに、今年度から森林クラウドを活用し、航空レーザー計測による詳細な森林資源情報等を基に、パソコン上で設計条件に応じた作業道の線形案を短時間で効率的に作成できるよう、新たにスマート林業技能者育成研修を開始したところであり、ソフト面での支援も強化をしております。  県産材の需要が高まっている中、森林組合や林業事業体が路網等のインフラ整備にしっかり取り組んでいくことができるよう、今後とも予算確保と設計施工等の技術支援に努めてまいります。  私からは最後になりますが、林業における外国人材の活用についての御質問にお答えします。  令和2年の国勢調査によりますと、全国の林業分野における外国人就業者数は222人で、うち県内は31人、全員が入管法に基づく永住者としての在留資格により就労され、本県林業の重要な担い手として活躍をされております。  一方、林業分野の外国人技能実習生は、昨年度、全国で64人と近年低位で推移しており、県内での受入れ事例はこれまでございません。  現行の技能実習制度は、林業の場合、在留期間が1年の技能実習1号による受入れのみであり、入国や帰国時の渡航費など、受入れ側、雇用主の負担が大きいことや、危険な労働環境で労働災害の発生率が高く、言語のコミュニケーションの課題があることなどから活用が進んでいないとお聞きをしております。  しかしながら、多様な担い手の確保という観点では、外国人材の受入れは有効な手段の一つでもございます。  平成31年4月に全国森林組合連合会が中心となって設立をされました林業技能向上センターにおきまして、在留期間が通算3年となる技能実習2号への移行を目指しており、これに必要な技能検定制度の実施に向けた準備も進められていると伺っております。  県といたしましては、こうした全国的な動きなども注視しながら、引き続き実習生受入れのニーズや課題の把握に努めますとともに、林業担い手センターや林業カレッジとも連携いたしまして、今後の木材需要に対応できる林業担い手の確保と定着にしっかり取り組んでまいります。 63 ◯副議長(瘧師富士夫君)市井土木部長。    〔土木部長市井昌彦君登壇〕 64 ◯土木部長(市井昌彦君)私から、魚津港北地区についてお答えします。  魚津港の北地区では、港湾物流の円滑化と漁業施設を含めた港湾機能の拡充を図るため、平成6年度から防波堤、埠頭用地、耐震強化岸壁などを整備し、平成27年度に完成しております。  こうした岸壁などの施設は、船舶が安全に停泊できる静穏度が確保されるよう計画したものでありますが、平成28年12月には岸壁に係留中の船が冬期風浪により大きく揺れ、岸壁と接触し、船体を損傷する事故が発生しました。このため県では、魚津漁協と調整の上、令和2年度までに船の接岸時の衝撃を和らげるため、岸壁に設置している防舷材を改良するなどの措置を講じたところでございます。  さらに、近年の地球温暖化などに伴う波浪による影響も考えられることから、県では悪天候時に港内のパトロールを行い、静穏度の状況確認に努めております。  また、停泊、係留の安全性の確保に向け、静穏度の調査・解析手法について国に相談したところ、漁船などの小型船舶を対象とする場合には、波の高さを継続的に計測することや、海面の状況をより高い精度で再現する必要があることなど、課題が多いとのことでございました。  県としては、今後とも悪天候時の状況監視に努めるとともに、日々の港湾利用を通じ、港内の波の状況を詳しく把握されている港湾利用者の方々に聞き取りを行うなど、静穏度の向上につながる対策について引き続き検討してまいります。  以上です。 65 ◯副議長(瘧師富士夫君)廣島生活環境文化部長。    〔生活環境文化部長廣島伸一君登壇〕 66 ◯生活環境文化部長(廣島伸一君)私からは、有害鳥獣対策に関する質問にお答えをいたします。  県では、今回のツキノワグマなど5種、また令和2年度に先行して改定いたしましたイノシシ、これらの各管理計画において、それぞれ被害状況等を踏まえて対策に取り組むこととしております。  まず、主な鳥獣の管理の取組に関してでございますが、ツキノワグマにつきましては、生息状況、自然環境、人間活動を考慮して地域区分を設定し、山里や人里周辺など、それぞれの地域に応じた取組を推進することとしております。  次に、ニホンザルにつきましては、これまで出没のなかった地域で被害が発生しますなど行動域の拡大が見られますことから、今年度は住民の方々に対しまして、猿を人里に寄せつけないノウハウ等を伝授する研修を実施し、また、デジタル技術を活用した地域ぐるみでの被害防除の実証実験を行うこととしております。  次に、イノシシにつきましては、分布域が県内全域に広がり、昨年の農作物被害額が鳥獣全体の約8割を占めるなど、その影響が依然として大きいことから、引き続き捕獲に努め、個体数の抑制を図ることとしております。  続きまして、捕獲体制に関してでございますが、県と市町村が役割を分担し、体制を整えることとしております。特に銃器を使用した鳥獣の捕獲等が禁止されている住居集合地域等におきましては、猟友会員が主要メンバーでございます市町村の有害鳥獣捕獲隊が警察官職務執行法による警察官の指示の下、適切に対処することとしております。  なお、警察官の方に有害鳥獣捕獲隊員になっていただくこと、これに関しましては、一般にツキノワグマなどの駆除につきましては、高度な知識や豊富な狩猟経験が必要とされておるところでございますが、警察官個人が捕獲隊員として自発的に活動されることを妨げるものではないと考えられております。  今後も改定しました管理計画等に基づきまして、市町村、県警察、猟友会など関係機関と連携し、有害鳥獣対策に取り組んでまいります。  以上でございます。 67 ◯副議長(瘧師富士夫君)以上で澤崎豊君の質問は終了しました。  八嶋浩久君。    〔10番八嶋浩久君登壇〕 68 ◯10番(八嶋浩久君)皆さん、こんにちは。自民党議員会の八嶋でございます。  種部議員によりますと、本日はロックの日ということでございます。種部議員は、例えればマシンガン。さしずめ、スピード・キングとかハイウェイ・スターといったところでしょうか。私は沢田研二。「ロックでなし」にならないよう頑張りたいというふうに思っております。  まずは、新型コロナウイルス、ロシアによるウクライナ侵略、上海のロックダウンなどへの対応、関係各位の努力に対し、敬意と感謝を申し上げます。悪影響を受けた皆様方には、心よりお見舞いを申し上げます。  今6月定例会も多くの指導を賜り、このように一般質問の機会を与えてもらいました。諸先輩や同期の皆さんの御配慮に、この場を借りてお礼を申し上げます。また、傍聴にもお出ましいただいております。県議会への御理解に対し、重ねて感謝を申し上げたいと思います。  令和2年から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックにより、個人の営みはもとより、社会全体が大きく変容いたしました。ロシアによるウクライナ侵略、さらには知床の観光船の海難事件、まさに今も調査が続けられています。  また、コロナ対策の各種給付金は、我々にとっても大変助かったわけで、大きな安心感につながったわけでございますが、一方、多くが貯金、貯蓄に回り、効果があったような、なかったような。最近は給付金詐欺、不正受給などの経済犯罪も報道され、これについては、警察、検察には徹底的に罪を暴いて、モラルの復活に御尽力いただきたいというふうに思っています。  いずれにせよ、社会は混沌としています。こういった混沌とした社会では、安定した行政、安定した政治が大切です。安定した中で未来へ投資ができるよう、我々は最大限努力しなければなりません。このような時代感の下、以下、質問に入ってまいります。  大きい問1、個と公の調和型社会の実現についてから5問お尋ねいたします。  本年度、新湊大橋開通から10周年を迎えます。海王丸パークの開園もまた節目の30周年を迎えます。初代海王丸の誘致から始まり、日本海ミュージアム構想、これまでの先人のアイデアや努力に対し、まずは敬意と感謝をお伝えしたいというふうに思います。  3日後の6月12日には、新湊大橋開通10周年、海王丸パーク開園30周年の式典が挙行されることになりました。財団におかれましては、時間のない中、準備は大変だったと思いますが、関係の皆様には心よりお礼申し上げます。海王丸パークでは、開園10周年、20周年の式典がなかったこともあり、今回の30周年式典は地元では大変な喜びムードでございます。  さて、今後こうした祝賀イベントなども続くと考えられますが、射水市とも連携して取り組んでいくべきだと思います。伏木富山港・海王丸財団の蔵堀会長、御招待ありがとうございました。会長、式典の後にはどのような取組を考えているのでしょうか、蔵堀副知事にお伺いいたします。  海王丸パークといえば、初代海王丸の総帆展帆。見事な雄姿が現れる日には全国の帆船ファンが集います。しかし、この総帆展帆には多くのボランティアによる準備が必要です。今、30年を経てボランティアも担い手不足、高齢化に不安を感じずにはおれません。これから35周年、40周年に向けても、この技術を受け継いでいく必要があると思っています。全国から帆船好きのボランティアを募ることも大切ではないかと思っています。今後どのようにボランティアを募集、育成していくのか、併せて蔵堀副知事にお伺いいたします。  本年1月から、高所作業の安全対策が強化されました。県発注工事における安全対策や県内建設業者への周知はどのようになっているのでしょうか。  また、これを受けて、総帆展帆の高所作業について安全対策を強化されましたが、海王丸の総帆展帆に御協力いただくボランティアの方の安全確保はどうなっているのでしょうか。ボランティア募集にはとても大切なことで、安全確保は欠かせないことだと考えていますが、市井土木部長にお伺いいたします。  2015年、学校図書館法の一部を改正する法律が施行され、この改正では、学校司書の資質向上のための研修が努力義務として課せられています。私は、文科省が推奨する学校司書のモデルカリキュラムに沿った研修は必要だと考えています。また、高い教育的効果があるとされる先進的な取組事例に触れることも大切なことだと考えています。  昨年、学校図書館問題研究会第36回全国大会は、もともと富山県で開催される予定でしたが、オンラインで開催されました。コロナ禍でもそういった研修や先進事例を知る機会があったわけです。県内からは49名の学校司書さんが参加されました。  そこで、各市町村で対応が異なるわけであります。魚津市、朝日町、立山町、上市町では公的研修と位置づけられましたが、他の市町村では公的研修ではなく、学校司書さんの個人に任されたのが実情であります。  私は、このような研修や先進事例に触れる機会が全ての市町村で公的研修の位置づけになることが望ましいとは考えていますが、現状はそうなりません。現在、学校司書さん個人に任されている市町村が大半でございます。個人か公か、司書さん自身の個人的な都合もありますし、全員参加は大変難しいですが、せめて、参加される司書の方々には私は支援していくのが県の読書活動推進の目的に資すると考えております。  学校司書さんに対する研修、先進事例研究への支援についてどのように考えていくのか、荻布教育長の御所見をお伺いします。  昨年度の県内移住者は823人、過去最多の報道がありました。市町村が中心となる移住の話ですが、県のとやま未来創生戦略では、2024年度には移住者1,000人の目標を掲げています。地方への関心が高まっている今こそ、県が掲げた目標の達成に向け、県は大いに努力していくべきと考えています。  あと2年です。今年度はどのように取り組んでいくのか。県内市町村においても様々な移住促進策に取り組んでいるところであり、県全体として移住者の増加を図っていくために、市町村と十分連携をして支援していくべきだと考えます。昨日お誕生日を迎えた南里地方創生局長に御所見をお伺いし、一旦質問を切ります。 69 ◯副議長(瘧師富士夫君)蔵堀副知事。    〔副知事蔵堀祐一君登壇〕 70 ◯副知事(蔵堀祐一君)私から、海王丸パーク等に関する2問の御質問にお答えをさせていただきます。  先ほど八嶋議員からお話がありましたけれども、私は伏木富山港・海王丸財団の会長も兼務させていただいておりますので、そうしたことで、この2問にお答えをさせていただきたいというふうに思います。  まず、海王丸パーク等の祝賀イベントについてお答えをいたします。  帆船海王丸と新湊大橋が一望できます海王丸パークは、多くの方が訪れる県内有数の観光地でありまして、開園以来延べ2,450万人の方に利用をされています。  今年は海王丸パーク開園30周年、また新湊大橋開通10周年を迎える節目の年でありまして、今月12日には、伏木富山港・海王丸財団が海王丸パークにおきまして、これを記念する式典を開催することといたしております。  また、ベイエリアのにぎわいを創出いたしますため、地元射水市が中心となりまして、財団、国、県、関係団体、地元住民の代表の方で構成をされます実行委員会において、様々な記念事業を実施することといたしております。  具体的には、8月には、現在運航されております二代目海王丸の寄港と、これに合わせた記念イベントを実施いたします。9月には、ふだん歩くことができません新湊大橋でのウオーキングを実施いたします。10月にはスカイバスの運行なども行いまして、また富山新港港内でのクルーズも予定をいたしております。  海王丸パークや新湊大橋周辺のベイエリアの魅力向上には、地元射水市との連携が重要でございますけれども、射水市では先般、東埋立地でのフットボールセンターも開設され、新たなにぎわいが創出をされております。  記念事業の実施に当たりましても、多くの皆さんに楽しんでいただけるように、地域の魅力向上、にぎわい創出につながるイベントとなりますように、地元射水市とも連携協力して取り組んでまいります。  なお、私自身、30年前に、平成4年、5年度ですけれども、土木部の港湾課におりまして、この海王丸パークを含めた東西埋立地の整備計画の担当をいたしておりました。当時は埋立てが終わったばかりで、大変広大で平たんな土地でありまして、本当にここににぎわいがいずれつくれるのかということで、大変不安な思いであったことを思い出しております。その後、関係の皆様の御尽力によりまして現在のにぎわいが創出されるということで、私自身も大変感慨深い思いがございます。改めて、御尽力いただいた関係の皆様にお礼を申し上げたいと思います。  次に、海王丸のボランティアについてお答えをいたします。  帆船海王丸につきましては、海の貴婦人と呼ばれます優美な姿を県民の皆さんに親しんでいただくために、新型コロナウイルスの感染拡大の前は年間10回程度の総帆展帆──全ての帆を張るということですが、総帆展帆を行っておりました。2年半ほど中断いたしておりましたけれども、今年4月、2年半ぶりに再開をしたところでございます。  この総帆展帆に当たりましては、県内外の幅広い層から応募されたボランティアの方々に御協力をいただいておりまして、1回の展帆には少なくとも70名程度のボランティアの参加が必要とされております。  現在、ボランティアの登録数は740名あるわけですけれども、今年度の平均の参加者数は50名を下回るという状況でございまして、また、ボランティアの皆さんの高齢化も進んでいるということでございます。平均年齢は65歳前後ということでございます。  こうしたことから、ボランティアの皆さんの体力面への配慮ですとか、また高所作業でございますので、安全面での配慮もしながら作業を進めるということをいたしております。  財団ではボランティアの募集につきまして、これまでのポスター、チラシの配布、SNSやホームページでのPRに加えまして、実際の総帆展帆を目の前で御覧いただく特別見学会、これを今年度から実施しております。また、養成訓練の訓練回数ですが、従来は2回だったわけですが、これを6回に増やすということで、育成機会の充実にも努めております。  こうしたことに加えまして、実際に総帆展帆を行っております横浜の帆船日本丸のボランティアの方ですとか、近くにあります富山高等専門学校の商船学科の学生さんなどへの協力の呼びかけ、また、県や市町村の広報媒体の活用によりまして、引き続きボランティアの募集、育成にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 71 ◯副議長(瘧師富士夫君)市井土木部長。    〔土木部長市井昌彦君登壇〕 72 ◯土木部長(市井昌彦君)私から、高所作業の安全対策についての御質問にお答えいたします。  労働者の高所作業における安全確保を図るため、平成30年に労働安全衛生法施行令が改正され、従来の胴ベルト型安全帯に代えて、体が抜け出さないよう、肩や腰、ももなどを複数のベルトで固定するフルハーネス型墜落制止用器具を使用することが原則とされ、猶予期間を経て、本年1月より完全施行されたところでございます。  県内建設業者等への周知状況につきましては、昨年7月から8月にかけての実務者を対象とした公共工事実務講習会において、労働基準監督署から内容を説明いただき、先月17日には、富山労働局の連絡会議において、出席した国、県及び建設関係団体が互いに安全対策強化について改めて確認したところです。建設関係団体によれば、器具の切替えは進んでおり、現場でも使用されていると伺っております。  県が発注する工事においては、工事監察や安全パトロール等の機会を通じて、器具の適切な使用を確認し指導を行っており、官民連携した取組を進め、労働災害の発生防止に努めているところです。  また、伏木富山港・海王丸財団が実施している海王丸の総帆展帆においても、建設業における安全対策を参考に、本年からボランティアの方にも同様の器具を装着いただいております。また、ボランティア登録の際にも、全員が受講する養成訓練の中で、器具の取扱いもあらかじめ学んだ上で御登録をいただいております。  今後とも、ボランティアの方々に安心して御参加いただけるよう、財団と共に安全対策の充実に努めてまいります。  以上です。
    73 ◯副議長(瘧師富士夫君)荻布教育長。    〔教育長荻布佳子君登壇〕 74 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、学校司書の研修への参加に関する御質問にお答えいたします。  県では、学校司書や司書教諭を対象にした研修である図書館教育講習会を開催してきておりますが、改正学校図書館法が施行された平成28年4月からは、この講習会の定員を30名から60名に増やしますとともに、市町村教育委員会を通じて市町村採用の学校司書にも積極的な参加を呼びかけてまいりました。  その結果、参加者数が大幅に伸びたため、令和2年度には定員をさらに80名に拡充し、加えて、今年度からはオンラインでの参加も可能として実施する予定としております。より多くの希望者が研修に参加できるよう、年々環境づくりに努めてきているところでございます。  研修内容についても、子供の読書活動を推進する民間団体からの御意見も参考にしながら、学校図書館におけるICT活用の実践など先進的な研究をされている講師を県外から招き、ワークショップも取り入れるなど、最新の事例を実践的に学べるよう改善に努めてきているところです。  学校司書が対象となる研修はほかに、県立図書館主催の「子どもと本の講座」があり、子供の読書活動について深く理解していただくことを目的に、県内外の講師による講演を毎年2回開催しております。  議員御指摘のとおり、学校図書館の充実のためには様々な取組事例を学ぶことが重要だと考えております。県教育委員会としましては、今後とも市町村教育委員会の意見も聞き、また幅広い参加について働きかけもしながら、学校種にかかわらず、より多くの学校司書に参加していただけるよう、研修機会の提供に努めますとともに、時代に応じた研修内容やオンライン研修の拡充など、充実した研修になるよう努力をしてまいります。  以上でございます。 75 ◯副議長(瘧師富士夫君)南里地方創生局長。    〔地方創生局長南里明日香君登壇〕 76 ◯地方創生局長(南里明日香君)私からは、移住者の増加に関しての御質問にお答えいたします。  本県では、市町村、県、関係団体などで組織する「くらしたい国、富山」推進本部を中心に、県を挙げて移住促進に積極的に取り組んでまいりました。  最近の移住者数の動向ですけれども、これまで市町村との連携による相談会の実施など、移住促進の取組が効果を上げていることに加えて、本県の強みとされる就労環境や子育て環境のよさ──私自身、子育て環境のよさには非常に感激しているところであるんですけれども、これが浸透してきたことですとか、コロナ禍を契機にオンラインによる相談体制を強化したことなどもありまして、移住を決断する方が増加し、令和3年度の県や市町村の移住相談窓口を通した移住者数は、県で統計を取り始めて以来、過去最高の823人となったところでございます。  引き続き、地方移住への関心が高まる中、その流れをしっかりつかみ、さらなる本県への移住促進を図るため、今年度は、開催回数を増やすなどオンラインセミナーの拡充、移住検討者が先輩移住者等に相談できる機会を提供するベストマッチ相談会の開催、移住後のきめ細かなケアやフォローアップを目的とした移住交流サロンの開催など、移住者や住民と最も身近な基礎自治体である市町村と協力し、取組を強化することとしております。  今後とも市町村との連携をしっかり図るとともに、サテライトオフィスの誘致や、テレワークやワーケーションの推進などによる関係人口の創出、拡大など、庁内関係部局と連携しながら、令和6年度までの移住者1,000人の達成に向け、移住・交流の促進に総合的に取り組んでまいりたいと思います。 77 ◯副議長(瘧師富士夫君)八嶋浩久君。    〔10番八嶋浩久君登壇〕 78 ◯10番(八嶋浩久君)次に、大きな問2、安全・安心を基盤とした豊かな暮らしの実現についてから4問お尋ねいたします。  富山県の災害ボランティアに対する考え方をあるマスコミが社説で取り上げていました。県行政の中から「ボランティアは自己責任だから自己完結で」、なぜか人ごとのような回答がございました。  富山県の考える災害ボランティアに対するそもそもの認識はどういったものなのか。全国的には何らかの支援を導入される自治体が増加する中で、報道機関の全国調査に対して「公益性が薄い」とまで言い切った県は富山県だけでした。災害ボランティアは公益性が薄いとはどういう意味なのでしょうか。富山県のこれまでの経緯からしても決して本意ではないと思っています。本当のところを新田知事にお伺いいたします。  また、県としての災害ボランティアに対する支援について、現状での取組と、今後は、支援できる、できないは別にして、連携強化の立ち位置、スタンスを取る必要があると考えますが、併せて新田知事にお伺いいたします。  近年の災害では、防災士による被災地支援活動が積極的に行われています。具体的には、一定の防災知識を有する防災士の方々により、災害初期に避難誘導や救出救助活動により多くの人が助かったことは、熊本地震などで実証されています。  さて、富山県において昨年200人くらいの増加ということで聞き及んでおりますが、北陸3県で比較すると、富山県内は防災士の人数が圧倒的に少ない状況です。他県の状況も踏まえ、少ない原因の分析を行い、早急に対応を検討することが望まれています。  そこで、現在の防災士の資格取得者数、そして今後、資格取得者増に向けどのように取り組むのか、利川危機管理局長にお伺いいたします。  今年から嘱託警察犬になるための犬種条件が撤廃されたことから、今回、射水市在住の指導手の方がプードルを嘱託警察犬として育てられたことは大変喜ばしいことでした。  しかし一方で、令和2年度から出動件数が激減した経緯などを聞くと、訓練士の高齢化や担い手不足も深刻だと思いますし、刃物など凶器を持つ凶悪犯の追跡はかなり危険性が高く、民間人ではやはり困難であることから、警察官が訓練士を務める直轄警察犬の導入は喫緊の課題であると考えています。  私が議会議事録を検索した限りでは、直轄警察犬の導入については、過去にも何人もの議員が取り上げられ、議論されていました。また、本県よりも財政規模の小さな和歌山県などでも既に導入されておりますが、警察官による訓練士を養成し、直轄警察犬の導入について今後どのように取り組まれるのか、杉本警察本部長にお伺いいたします。  5月13日の道路交通法改正で、過去に特定の違反をした高齢運転者が免許証の更新に際し技能検査を受けることになったことを知らない方が多いのではないかと認識しております。加えて、改正以降に切符処理された高齢運転者も認識が乏しいということでございます。もっと改正の趣旨を周知し、取締りの際には高齢者に対して分かりやすく説明する必要があると思います。  現在、まだ始まったばかりですが、5月末締切り、1か月で県内での対象者は何人となったのでしょうか。また、検査対象となる方に対し、この制度についてどのように周知を図っていくのでしょうか。  もちろん、この制度が高齢者の事故防止になると信じておりますが、一方、高齢者の足の確保や公共交通、町への移住など、他の部局の所管にはなりますけれども、高齢者支援も大切になってくると思っています。  警察のほうではサポカー免許なども始まりました。こういった法改正は初めが肝腎だと考えており、対象人数、そして周知、説明について、前問に続いて杉本警察本部長に御所見をお伺いし、質問を切ります。 79 ◯副議長(瘧師富士夫君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 80 ◯知事(新田八朗君)災害ボランティア活動に対する支援について御質問いただきましたので、お答えをします。  頻発する災害の発生時において、災害ボランティアの役割は大変に重要になってきていると思っています。例えば、発災直後でまだ行政が十分に始動する前にスピード感を持った対応をしたりするようなこと、あるいは、ある程度時間がたって日常生活を取り戻すための支援ということで、行政がなかなか行き届かないような分野、そのようなときに、この災害ボランティアが大変に重要な役割を果たしていると理解をしています。  支援の形については、いろいろあると思います。私も1995年の阪神・淡路大震災のときに、日本青年会議所の責任者として関わりましたが、思いはあってもなかなか、何をやればいいか分からないという方もたくさんおられます、ボランティアの方は。そんなときに、被災者とボランティアをつなぐ役割を担う災害ボランティアコーディネーター、あるいは、ある程度の人数になりますと統率するリーダーが必要になります。そういうようなコーディネーターやリーダーを育成する研修を県の社会福祉協議会で実施をしております。これを県として支援をしまして、人材の確保や育成に努めております。  また、そのようなコーディネーターやリーダーを育成しましても、いざというときにすぐに動き出せるかどうかということが課題になります。そのシミュレーションをするために県で総合防災訓練を行いますが、その際に、災害ボランティアセンターの設置や運営訓練を実施しております。そうすることによって、万が一のときにそのようなコーディネーターやリーダーがスキルを発揮できるように、そんな準備もしているところでございます。これも支援の一つの形かと思います。  また、2011年の東日本大震災のとき、また2019年の台風19号による豪雨のとき、あのときにはバスを仕立てまして、現地にボランティアを運ぶということもしています。そのような支援をしております。  いずれにしろ、災害ボランティアの役割は、今後もより重要になっていくと思います。献身的に活動いただいているわけですから、どういう支援が今後適切なのか、議員おっしゃっているのは多分、交通費とか宿泊費などにも支援したらどうかという、そんなお気持ちもあられるのだというふうに思いますが、ほかの自治体の状況なんかも参考にしながら、県の社会福祉協議会、また県民ボランティア総合支援センターなどの関係機関と意見交換をして、必要な支援について検討してまいりたいと思っております。  以上です。 81 ◯副議長(瘧師富士夫君)利川危機管理局長。    〔危機管理局長利川 智君登壇〕 82 ◯危機管理局長(利川 智君)私からは、防災士に関する御質問にお答えいたします。  県内の防災士資格取得者の人数ですけれども、令和3年度末2,014人と、5年前の平成28年度末1,056人から2倍近くに増えております。人口10万人当たりの人数で言いますと197人、全国平均は182人でありまして、若干多い状況になっております。  大規模な災害が発生した場合、行政機関による公助のみでは限界があります。自助、共助も含めたバランスの取れた対応が必要でございます。自助、共助の取組を進めるためには、防災士に期待するところが大きく、マイ・タイムラインの作成など、住民への防災意識の啓発をはじめ、避難所運営や地区防災計画の作成などを担う地域の防災リーダーとなる防災士の養成が大変重要でございます。  このため県では、市町村の協力もいただいて、防災士の養成研修を開催しておりまして、受講定員は平成28年度に80人でございましたけれども、随時拡充してきておりまして、今年度は昨年度より40人増やして240人として、2回に分けて開催しているところでございます。  さらに、女性の視点を取り入れた避難所運営などを促進するため、平成30年度に女性優先枠を設け、今年度は60人で開催し、女性防災士の養成にも努めているところでございます。  今後、現在のペースで防災士の養成を進めていけば、令和6年度までに富山県国土強靱化地域計画の目標でございます2,400人を300人上回る2,700人になるというふうに見込んでおります。  ただ、議員から御指摘のありましたとおり、近隣の石川県や福井県と比較しますと、まだまだ少ない状況でございます。その要因としましては、研修の開催回数ですとか受講定員、それから受講者負担金の有無などが考えられるわけでございますけれども、今後、他県の事例なども参考に、市町村や県防災士会の意見も伺い、研修を受講しやすい環境づくりなどを工夫しまして、防災士の増加に向けてしっかり取り組んでいきたいと思っております。  以上でございます。 83 ◯副議長(瘧師富士夫君)杉本警察本部長。    〔警察本部長杉本伸正君登壇〕 84 ◯警察本部長(杉本伸正君)私からは、まず警察犬についての御質問にお答えいたします。  警察犬は、人間の約4,000倍から6,000倍と言われる鋭い嗅覚を持つ犬を訓練して、捜査活動や行方不明者の捜索活動にその能力を活用するもので、警察が直接飼育、訓練する直轄警察犬と、民間の方に飼育、訓練をしていただく嘱託警察犬とに分かれます。  本県では現在のところ直轄警察犬は導入しておらず、嘱託警察犬のみの運用となっており、本年度は嘱託警察犬審査会を4月20日に開催し、合格した嘱託警察犬14頭、その指導者9名に対して6月1日から1年間の嘱託をしております。  過去には、嘱託警察犬の指導者が22名いらっしゃったという時期もありましたけれども、御高齢による引退などにより年々指導者が減少し、担い手の確保が困難になりつつある現状にございます。  県警察では、24時間にわたり早期対応可能な直轄警察犬の導入を目指して、先進県への視察を行うなど、施設、犬の購入管理、人的運用などに関する情報を収集して検討を進めているところでございます。  一方で、既に直轄警察犬を導入している道府県においても嘱託警察犬と併せて活用しているという状況にございまして、引き続き嘱託警察犬の重要性も高いものと認識しております。  議員から御指摘もございましたけれども、令和3年度までの嘱託警察犬の募集対象は、公益社団法人日本警察犬協会が認定している7犬種としておりましたが、この7犬種以外にも優秀な犬もいるということで、本年度の嘱託警察犬審査会ではこの犬種の指定を撤廃して募集をしたところでございます。  引き続き、嘱託警察犬及び指導者を幅広く募っていくための取組にも併せて力を入れてまいりたいと考えております。  続きまして、運転技能検査についての御質問にお答えいたします。  5月13日に施行された改正道路交通法では、75歳以上の高齢運転者の交通事故防止を図るため、運転免許証の更新に当たり、これまでの認知機能検査や高齢者講習を受けるということに加えて、信号無視など一定の違反歴がある方を対象とした運転技能検査が導入をされました。  この検査では、信号機のある交差点の通過など6つの課題をこなしていただくということになりますが、加齢に伴う身体機能の衰えなどにより著しく運転機能が低下し、検査結果が合格基準に達しないという場合には、運転免許証の更新ができないということになります。  県内における検査対象者数ですが、データの出力が始まりました5月2日から6月7日までの期間で、免許更新予定者の約8.4%に当たる273人となっております。これらの方々には、更新満了日の約6か月前に、この制度の趣旨や検査の対象となっていることを記載したはがきにより通知を行っております。また、70歳以上の高齢運転者に対しても、高齢者講習等の機会を通じて、この制度の周知を図っているところでございます。  また、県警察では、この検査を行う運転技能検査員に対する講習を通じて、制度の趣旨や検査要領を周知して、その公平性を確保するとともに、自動車教習所など検査の実施機関では、通常の運転技能検査に加え、再受検希望者に対する検査体制も整備しております。  検査対象者数につきましては、先ほど申し上げましたとおり、全体の約1割弱と、現在のところ、おおむね見込みどおりに推移をしているところでございますが、今後この数が増えるといったようなことで必要があれば、検査体制の強化ということも視野に入ってくるかと思っております。  県警察といたしましては、引き続き運転技能検査の適正な運用を図りつつ、高齢運転者の安全な運転継続を支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。 85 ◯副議長(瘧師富士夫君)八嶋浩久君。    〔10番八嶋浩久君登壇〕 86 ◯10番(八嶋浩久君)最後に、大きな問3、国際化を見据えた産業振興について4問お尋ねいたします。  コロナ感染症対策による需要減の影響は、物価高騰の影響もあり、単なる売上げ減の指標だけでははかれません。今補正予算では、利益率の減少に対して支援を打ち出したことをとても評価したいというふうに思います。ただ、コロナ感染症の影響による販売量の不振やエネルギー、燃料などの値段の高騰は今に始まったわけではなく、3年前に遡ってあげたい気持ちも出てまいります。  一方、今からの計画では準備にも一定期間かかり、それでは申請、採択に間に合うのかという議論もございます。単年度会計の弊害だとは思いますが、10億円拡充の補正予算、せっかくの意図が実を結ぶよう、募集期間なども含めどのような取組になるのか、新田知事にお伺いします。  おとといなんですが、議会に向かう途中、新湊大橋から海王丸パークにクルーズ船にっぽん丸が着岸しているのが見えました。決して脇見運転ではありません。ちなみに、その日はLNG船も入港しており、すごい絶景でございました。もう一度言いますが、脇見運転ではございません。議会が終わり、夕方見に行きました。まさに観光クルーズの始まり、秋田の能代港、北海道の函館港に向けての出航の様子を見ることができました。  先般5月13日には、ぱしふぃっくびいなすが海王丸パークに寄港しました。県内では2019年9月以来のクルーズ船の寄港であり、200人程度の旅行者ではありましたが、それでも内川でにぎわいができ、瞬間的でしょうが県内への経済効果もあったと思います。  さて、クルーズ船について、今年度の県内への寄港予定はどうなっているのでしょうか。本年は既に運航会社も予定を立てていますので、ポートセールスもハテナマークではございますが、ビヨンドコロナに向け需要回復が期待されます次年度以降の受入れ増加に向けての取組は今から強化をするべきだと考えます。南里地方創生局長に御所見をお伺いいたします。  小麦高騰で、米粉活用のチャンスが到来していると思います。  さて、食文化の変化から主食用の米離れが進んで久しいです。ただ今回は、アメリカ、カナダの小麦の不作やウクライナ問題が価格高騰の原因です。国際情勢の不安定さに左右されないよう、今は間に合わなくても、将来に向けて小麦価格の高騰対策が必要となったわけです。将来というなら、国内自給率を上げる食料安全保障の観点も大事です。  また、米粉の消費拡大は、米粉用米の生産農家の作付面積を増やし、米粉米を大量に生産することにつながり、需要減の主食米に代わる農地活用も促すことになると思います。最大の問題であった価格も、米粉需要が拡大すれば製造コストの削減や流通コストの削減で生産性の向上に寄与し、小麦並みの加工賃が実現できるなどの効果が見込めないでしょうか。それにあと少し生産者の手取り改善ができれば、作付面積はさらに増え、富山の農業振興にもつながると考えます。米生産に適した農地を持っている米どころ富山でこそ、米粉を使った食品で米粉消費を喚起し、消費拡大につなげてはどうかと考えます。横田副知事に御所見をお伺いします。  3月24日木曜日、防衛省発表では、北朝鮮が弾道ミサイルを東方に発射。発射された弾道ミサイルは約71分間飛翔し、北朝鮮のミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)の内側に着弾。特にEEZ内側への着弾については断じて許すことができません。ならず者国家に何を言っても安全にはつながりません。最近でも、6月5日日曜日に北朝鮮は8発のミサイルを発射しました。  例えば、漁業を生業としている関係者にとっては、こんな不安なことはございません。産業の根幹に関わる安全が脅かされる国際的な犯罪に対して、本当は全ての産業に関わる話ではありますが、富山県在籍の漁船などの安全確保にどのように取り組んでいるのか、産業界を代表して堀口農林水産部長に取組をお伺いして、今回の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 87 ◯副議長(瘧師富士夫君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 88 ◯知事(新田八朗君)ビヨンドコロナ補助金の拡充についての御質問にお答えをいたします。  ビヨンドコロナ補助金は、まず2月の補正予算で議決いただいた10億円について、5月13日までの約1か月半募集を実施しました。13.8億円分の申請があり、現在、順次採択の手続を進めています。  次は、当初予算として議決いただいた10億円について第2次募集を行いますが、昨今の物価高騰等による県内中小企業の厳しい経営状況を踏まえまして、本議会には6月補正予算の中に10億円追加をお願いしております。対象要件に、これまでの売上高減少に加えて利益率が5%以上減少した場合を追加したこと、御評価いただきましてありがとうございます。そして、さらに原材料費などの削減などを図る取組を支援する省エネ・コスト削減枠、このような部門を新たにつくりました。これも新しい取組です。  募集に当たりましては、県や新世紀産業機構などのホームページに加えまして、商工団体、金融機関などの御協力もいただき、広く周知に努めます。そして、昨年度のリバイバル補助金におけるDXの活用や新分野への挑戦などの優良事例について、商工団体など支援機関における助言などにより横展開を図っていきたいと考えております。  そして、申請の受付期間について御指摘をいただきました。事業者の皆さんが、生産性向上や経営基盤強化の取組を十分に検討していただけるように、6月下旬から2か月程度、確保することとしております。  さらに、新たな取組であれば、1次募集で既に採択された事業者さんでも、省エネ・コスト削減枠では申請可能とすることなども含めまして、できるだけ多くの県内事業者に有効に御活用いただくことで、事業活動の再建や成長発展につながるように支援をしてまいりたいと思います。  私からは以上です。 89 ◯副議長(瘧師富士夫君)横田副知事。    〔副知事横田美香君登壇〕 90 ◯副知事(横田美香君)私からは、米粉の消費拡大についての御質問にお答えいたします。  今、世界的に小麦価格が高騰しております。そして、品不足につきましても大きな懸念となっております。一方で、国内では米需要が減少し、消費拡大が課題となっている。  米粉につきましては、菓子・料理用、パン用、麺用といった用途別基準が導入されるなど、使いやすい環境が整い、小麦粉との価格差も縮小しております。八嶋議員御指摘いただいたとおり、この機を捉え、米粉の需要を喚起し、そして活用を定着させたいと考えております。  米粉は2000年代後半から活用が推進されてきておりますけれども、小麦との価格差に加えまして、冷めると硬くなる、膨らまないなどの難点もあり、2011年頃をピークに需要量が減少しておりました。しかし、米粉専用の米品種の開発が進みまして、小麦粉と同様の微細粉化が実現し、これによってパンが膨らみやすくなったということ、そしてグルテンフリーでの調理・加工技術が向上いたしました。これによって近年需要が増加しておりまして、令和3年度は全国で4.1万トンとなっております。  ただ、国内の主食用の米の需要は年間704万トン、そして小麦は570万トンです。国内でも、そして輸出といった可能性も含めまして、まだまだ拡大の可能性があると考えております。  一方で、県内の米粉用米の生産は近年増加しておりますけれども、令和3年度で979トンというふうになっております。ただ、県内の出荷は学校給食用の米粉パンなどに24トン、そして、そのほか洋菓子などで約50の事業者に出荷しておりますけれども、限定的でございまして、大半は県外出荷と推計されております。
     富山県は米どころであります。小麦代替として、より多くの米粉が県内で活用されて、富山米を使ったパンや麺が一般的に販売、提供されるようになってほしいというふうに願っております。  県内での米粉の消費拡大を図るために、食品製造業者や飲食店などを対象に、米粉の専門家や製粉会社などを講師とした研修会を開く、そして特性、種類を踏まえた商品開発の促進、米粉の商品やメニューのコンテストによって商品情報を発信していく、そして県内で一般的に購入できるように小売店などへ働きかけていく、こういったことを進めていきたいと考えておりまして、所要額を今般提出の6月補正予算案に計上しているところでございます。よろしくお願いしたいと思います。 91 ◯副議長(瘧師富士夫君)南里地方創生局長。    〔地方創生局長南里明日香君登壇〕 92 ◯地方創生局長(南里明日香君)私からは、クルーズ船に関する御質問にお答えいたします。  ちなみに、お恥ずかしながら、言及いただいています私の誕生日は国連が定める世界海の日だということでございまして、以下、お答えしていきたいと思います。  新型コロナの影響により、令和2年度、3年度は、予定されていた県内の寄港が全て中止となりました。先月、神戸港を発着地として日本を一周するぱしふぃっくびいなすが2年8か月ぶりに寄港し、多くの乗船客に立山黒部アルペンルートや内川をはじめ、県内の観光地を訪れていただいたところでございます。  また、一昨日は伏木富山港を発着地とするにっぽん丸──八嶋議員、お越しいただきありがとうございます──にっぽん丸が函館、白神山地に向けて出港し、あした帰港する予定となっておるところでございます。  政府による外国人観光客の受入れ再開など、水際対策の緩和が進められる中、クルーズ船の県内寄港は、観光振興や地域活性化、産業振興の面で大きな効果が期待できることから、感染対策に万全を期しつつ積極的に誘致したいと考えてございます。  クルーズ市場は二、三年後を見据えた寄港が計画されており、伏木富山港においても、今年度以降、令和6年度までの外国船の寄港について、クルーズ船社から複数の問合せをいただいており、中には海外での販売が始まっているものもございます。海外船の寄港に当たっては、国における海外船社向けのガイドラインの策定が必要ですから、この早期策定が望まれるところでございます。  県ではこれまでも、クルーズ船社や旅行会社を訪問し、本県の多彩な観光資源などをPRしてまいりましたが、見本市への出展や船会社等の招聘など、積極的に誘致の取組を行ってきたところでございます。  今後とも、クルーズ船受入れのための連絡調整会議を都度開催いたしまして、港湾所在市、国や県市の衛生部局等関係機関と連携して、感染防止対策を含む受入れ体制を整え、5月に寄港した際にドローンで撮影したぱしふぃっくびいなすの動画も活用しながら、誘致活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。 93 ◯副議長(瘧師富士夫君)堀口農林水産部長。    〔農林水産部長堀口 正君登壇〕 94 ◯農林水産部長(堀口 正君)北朝鮮のミサイル発射に対する漁船の安全確保についての御質問にお答えします。  今年に入りまして、北朝鮮から日本海へ向けてのミサイルの発射回数は16回を数えており、議員御紹介のとおり、3月24日には、北海道渡島半島の西方約150キロの日本のEEZ(排他的経済水域)内に落下するなど、日本海等で操業する漁業者の安全が脅かされております。  本県では、ベニズワイガニやバイガイを漁獲するかごなわ漁船13隻、イカ釣り漁船1隻が富山湾の沖合や日本海で操業しているほか、太平洋では富山県籍のサンマ漁船8隻が操業しております。  これらの漁業者の安全確保について、県では事前に北朝鮮によるミサイル発射の準備や兆候等の情報が得られた際には、県内各漁協に注意を呼びかけますとともに、出漁の有無などを確認しております。  実際にミサイルが発射された際には、水産庁から漁船や各漁協に漁業無線により直ちに情報発信されますほか、県からも直接、県漁業協同組合連合会や各漁協に連絡を行っております。  また、EEZ内にミサイルが落下した場合には、富山湾沖合や日本海で操業する漁船については、県から直ちに県漁連を通じて操業位置と安否を確認するとともに、太平洋で操業しているサンマ漁船については水産庁が中央団体を通じて同様の確認を行っており、水産庁からの速やかな情報収集を行っているところです。  引き続き、こうした非常時における迅速な情報把握や情報提供に努めますなど、漁業者の皆さんが安心して操業できますよう、国や漁業団体と連携いたしまして、漁船の安全確保に適切に対処してまいります。 95 ◯副議長(瘧師富士夫君)以上で八嶋浩久君の質問は終了しました。  暫時休憩いたします。休憩時間は10分間といたします。  午後3時00分休憩       ───────────────────  午後3時10分開議       ─────────────────── 96 ◯議長(渡辺守人君)休憩前に引き続き会議を開きます。  酒井立志君。    〔14番酒井立志君登壇〕 97 ◯14番(酒井立志君)皆様、お疲れさまでございます。最後の質問者になりました自民党議員会の酒井立志でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  6月定例会に当たり、さきの通告に従い4項目13点について質問いたします。  初めに、孤独・孤立問題等の対策について質問します。  かつて安倍政権が一億総活躍を掲げたとき、国の成長を目指す一方で、寝たきりやひきこもり、孤独・孤立の人々はどうするのかと考えたことがありました。  菅政権では令和3年2月に孤独・孤立対策担当大臣を任命し、その対策室を設けました。こうした部門に専門大臣を置いたのは、イギリスに次いで世界で2番目ということであります。担当大臣は一億総活躍相の兼務であったことから、大きな期待を寄せたものであります。  同年10月に、岸田政権は格差の是正をも標榜しました。  孤独・孤立は個人の責任ではなく、社会が生み出したものと捉えなければ公助の活動は始まりません。  自殺の背景になっているとも指摘される孤独・孤立の問題について内閣官房が4月に公表した調査結果によりますと、20代から30代の世代で孤独感を覚えている割合が高いことが明らかになったほか、世帯収入が低いほど孤独を感じている割合が高くなる傾向が見られております。  新型コロナウイルス感染症の流行が長期化し、ロシアのウクライナ侵攻も重なって、生活、雇用環境や地域社会の変化に伴う社会的な孤独・孤立の問題が深刻化していることから、本県における実態を詳細に把握分析した上で対策を講じていく必要があろうかと考えますが、厚生部長の所見をお伺いいたします。  2点目に、三重県は、21年度3月までに、ひきこもり当事者らに対する支援計画をまとめました。各市町村の相談窓口から関係団体や医療機関へ円滑につなげるよう広域支援体制を構築するほか、訪問支援やひきこもりに対する偏見をなくす啓発活動などに取り組んでいます。  埼玉県では、当事者や家族らが周囲に相談しにくいことが問題になっていると捉えて、条例を制定し、当事者や家族が孤立せず社会と関わる支援を行うべきと明記しております。東京都江戸川区では、ひきこもり当事者の社会的孤立を防ごうと、オンライン上での居場所の確保や個別相談対応を始めました。  このように、ひきこもりの状態にある家族への支援については、広域で支える体制の構築や相談体制の充実、当事者の居場所づくりなどに力を入れていくべきと考えるのでありますが、本県における対応方針について、厚生部長にお伺いをいたします。  3点目に、群馬県教育委員会では、ぐんまMANABIBAネットワーク事業を新たに開始し、学校や民間のフリースクールなど、官民の垣根を越えた横断的な支援体制の構築を目指しています。  本県においても、フリースクールやNPO法人が不登校の児童生徒や発達障害の子供の支援に取り組む団体の合同説明会等が開催されるようになってきました。  支援については、市町村の教育支援センターや民間のフリースクールなど、多様な学びの場が増えており、様々な悩みを持った子供たちがそれぞれのニーズに合わせた教育を受けられるよう、環境づくりを関係者の連携の下に進めていくことが重要と考えますが、今後どのように取り組むのか、教育長にお伺いをいたします。  4点目です。  文部科学省の調査では、義務教育段階における年齢で、国公私立の小中学校や外国人学校に通っていない不就学の可能性がある外国籍の子供は、令和3年5月時点で全国に1万46人いることが分かり、2年前の調査から9,425人減少したとの結果を出しております。  文部科学省は前回調査後、就学支援の促進を教育委員会に通知したことで改善したとのことであります。外国籍の子供を就学させる義務はありませんが、希望すれば公立小中学校が無償で受け入れるとのことであります。  令和2年2月定例会では、本県における不就学者数は6名であるとの答弁がございました。この人数は不就学の状況が明確に分かっている人数でありましたが、今回の文部科学省の調査内容に合わせ、不就学の可能性がある者も含めて、現状と今後の対応策について教育長にお伺いをいたします。  この項最後、5点目ですが、厚生労働省によると、昨年度の全国の生活保護申請件数は、速報値で前年度から0.8%増えて22万9,878件となっており、2年連続の増加になりました。  コロナ禍が長引く中、本県における生活保護申請件数や自立相談支援機関の新規相談件数はどのように推移しているのか、今後の対策と併せて厚生部長にお伺いをいたします。  2項目め、社会を明るくする運動の強化について3点質問いたします。  令和3年版犯罪白書によると、刑法犯の認知件数は、平成15年に減少に転じて以降、18年連続で減少しており、戦後最少を更新いたしました。一方、再犯者率は平成9年以降上昇し続けており、令和元年に僅かに低下したものの、令和2年は49.1%にまで再び上昇しております。  再犯防止推進法では、県と市町村は、国の再犯防止推進計画を勘案して計画を定め公表する努力義務があるとしているほか、国の地域共生社会の指針では、県と市町村等が連携して支援体制を構築することが求められております。  再犯防止に向けた社会復帰支援については、市町村単独では解決が難しい課題を抱える場合もあり、県と市町村、民間団体等が連携して支援体制を構築することが求められておりますが、県内市町村における再犯防止推進計画の策定状況と今後の連携方針について、厚生部長にお伺いをいたします。  2点目、平成17年に犯罪被害者等基本法が施行されて以降、我が国の犯罪被害者等施策は大きく進展したものの、犯罪被害に遭われた方やその御家族は多くの問題を抱えることとなります。  平成28年4月に犯罪被害者等基本計画の作成及び推進に関する事務が内閣府から国家公安委員会、警察庁に移管されて以降、令和3年3月に第4次犯罪被害者等基本計画が初めて策定されております。  新たな第4次基本計画において示された課題の一つに、性犯罪、性暴力や児童虐待の被害に遭い、自ら声を上げることが困難なために被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への適切な支援があり、そのことから犯罪被害者への支援を一層推進していくこととされております。  そこで、全国の自治体において犯罪被害者等支援を目的とした条例の策定は求められておりますが、犯罪被害者に対する支援について、県内市町村における条例の策定状況はどうか、また県として今後どのように市町村と連携していくのか、生活環境文化部長にお伺いをいたします。  3点目です。  本県では、昨年に大麻事件で摘発されたのは、前年の18人に対して25人増の43人で、大幅に増加しています。  警察庁のまとめによると、令和3年に大麻事件で摘発された人数は、前年に比べて448人増え5,482人であり、8年連続、過去最多を更新しています。  年代別では、20代が2,823人と最も多く、20歳未満の994人と合わせると20代以下が7割を占めており、若者の薬物乱用に歯止めがかからない状況が浮き彫りになりました。20歳未満の994人のうち、高校生は186人、最少年齢は14歳で4人いました。摘発者のうち77%が、危険性は全くない、また、あまりないと認識しており、誤った情報が一部で広がっていると見ています。また、20代以下の約3割はインターネット経由で入手先を知ったとしております。  このようなことから、若者の薬物乱用を防止するためには、学校における啓発活動の強化が重要と考えるが、対応方針について教育長にお伺いをいたします。  3項目め、港湾行政について3点質問いたします。  国は、2050年のカーボンニュートラルに向け、2030年度の温室効果ガスの46%削減目標など地球温暖化対策の実現に向けた計画改定を2021年10月に閣議決定いたしております。  我が国の輸出入貨物の99.6%が港湾において取り扱われ、国内物流についても、長距離の基幹物流は港湾活動を通じてサプライチェーンを形成しています。  一方、港湾、臨海部には火力発電所や石油化学コンビナート、製鉄所などが立地し、日本のCO2の6割がこれら臨海部で排出されています。よって、日本の地球温暖化対策を図るためには、港湾でのカーボンニュートラル──いわゆるカーボンニュートラルポートの実現が鍵になると言われており、地域社会や企業立地などと一体的に施策を進めることが重要であります。  富山県は、このような社会情勢を踏まえて本年2月に、伏木富山港カーボンニュートラルポート検討協議会を北陸地域で一番早く立ち上げて、来年度末までに、温室効果ガスの削減目標などを盛り込んだ伏木富山港の脱炭素の取組を示すCNP(カーボンニュートラルポート)形成計画の策定を目指すことは、非常に評価されるものと思います。  そこで、この形成計画の策定に当たり、港湾からのCO2排出量の削減はもとより、伏木富山港がカーボンニュートラルの実現を図る港湾機能をどのように求めていく方針か、土木部長に所見を伺います。  2点目になります。  港湾は、港湾計画に基づき整備されています。港湾計画は、通常10年から15年程度の将来を目標年次として、その港湾の開発、利用及び保全の方針を明らかにするとともに、取扱い可能貨物量などの能力、その能力に応じた港湾施設の規模及び配置、さらに港湾環境の整備及び保全に関する事項などを定めることとなっています。  さきの質問のカーボンニュートラルポート形成に向けた取組など、昨今の急激な社会情勢の変改に伴い、港湾に求められている機能も変化しています。  また、伏木港では、7月にバイオマス発電の運転が開始され、燃料となるペレットを年間約20万トン輸入される計画であり、取扱い貨物の増加が図られるなど、このように新たな工場や貨物が発生しています。  さらに、大型クルーズ船の寄港はアフターコロナにおいて回復が予想されるなど、実態としても港湾の利用の在り方が前回の計画改訂時の状況から変化しておりまして、将来にわたっても、このような変化に伏木富山港の機能を発揮できるようにしていかなければならないのではないかと考えられます。  そこで、本県の港湾計画は前回の改訂から23年が経過していることから、現状での変化、そして将来の社会情勢、特にカーボンニュートラルポート形成計画の策定を契機に港湾計画を改訂してはどうか、土木部長にお伺いをいたします。  この項3点目、最後になりますが、農林水産物・食品の輸出額を2030年までに5兆円とする目標の中、2021年は1兆2,385億円となりました。9年連続過去最高額を更新し、日本の農林水産物・食品が世界で求められていることが分かりました。  その輸出額をモード別に見ると、全体の8割以上がコンテナによる海上輸送となっています。そのことから、今後は輸出拡大に対応するための港湾インフラの機能強化の充実が求められます。  国土交通省は、令和3年度には生産関係者と港湾関係者が連携計画を策定し、それを農林水産省と共同して認定する場合、民間事業者による温度や衛生管理が可能な荷さばき施設などの整備に対する補助を行うことができる、産地・港湾が連携した農林水産物・食品のさらなる輸出促進事業を創設しています。  本計画に基づき、近隣背後圏から集荷した小口の農水産物についてコールドチェーンを確保しながら大ロット化を図り、輸出産地による海外への直行サービスを活用した輸出を促進する港──いわゆるこれは産直港湾と言いますが、その産直港湾を目指してはどうか。産直港湾を目指すことによって、新たな輸出農産物の発掘を含め、産地と連携した一層の取組が進められることになり、県境を越えた広域経済圏の創出に貢献することが期待されます。  北陸の十字路を生かし、環日本海の産直港湾を目指すことへの見解を、新田知事にお伺いをいたします。  最後の項、4項目めですが、スタートアップ支援について2点質問いたします。  先月末に開催された成長戦略会議において、成長戦略の成果指標の案が示され、中でもスタートアップ支援については、2026年度までに新規上場企業を1社、または同等の企業価値の企業を複数社創出することを目指すとされました。  4年後までに新規上場企業を創出するためには、従来の取組とは異なる新たな仕掛けとロードマップが必要と考えます。実現に向けて具体的にどのような取組を進めていくのか、今後のスケジュールと併せて、新田知事にお伺いをいたします。  最後の質問になります。  スタートアップ企業の創出のためには、起業家の育成、裾野の拡大が重要であり、若者が自由な発想で起業にチャレンジできる環境づくりが重要と考えます。既に東京都や千葉県、埼玉県などにおいて、大学や企業と連携した起業家教育の取組が広がっています。  産学官の連携の下、小中高校生を対象とした起業体験プログラムを実施してはどうかと考えますが、教育長にお伺いいたしまして私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。 98 ◯議長(渡辺守人君)新田知事。    〔知事新田八朗君登壇〕 99 ◯知事(新田八朗君)酒井立志議員の御質問にお答えします。  まず、農林水産物等の輸出についての御質問でした。  韓国、中国、ロシアなどへ直行便が就航する伏木富山港でありますが、さらに釜山港経由で世界の港湾ともつながっており、農林水産物では水産加工品が主に輸出されています。令和3年度の輸出額は約10億円となっています。  また、現在、直接つながるサービスとしましては、県内の2業者さんが鶏卵やアイスなどの冷菓を香港に輸出されています。取組事業者の拡大には、生産者と物流・港湾関係者の連携強化が必要だと考えております。  そのため、昨年度、輸出拡大方針の策定に当たりまして、物流・港湾関係者等で構成するワーキングチームにおいて、伏木富山港を活用する際の課題や支援方策を協議したところであります。今年度、取組可能な商品から事例をつくり普及すること、また、既存の直航サービスに別の商品の混載を商社に提案することなどに取り組むこととしました。  議員御提案の産直港湾については、国が大ロットの輸出を想定しておられまして、温度や衛生管理施設の整備などに支援をするもので、全国では大規模の港湾、清水と堺泉北、この2件が認定されているのみであります。ですから、例えば来年からすぐにということはなかなか難しいかと思いますが、県としましては、こうした事例も参考として、まずは、とやま輸出コミュニティの会員を中心に、新しい商流を開拓するリーディングプロジェクト、あるいは地域商社が複数商品をまとめて輸出する輸出プラットフォームの構築、これらを進める中で伏木富山港の活用実績を積み上げていきたいと考えております。  今後とも関係者と連携しながら、北陸の十字路に位置する伏木富山港の活用が拡大するように努めてまいります。  次に、スタートアップ支援についての御質問にお答えします。  富山県がスタートアップエコシステムを構築していくためには、まずは、みんなが目指そうというロールモデルとなるような成功事例をつくることが大切だと考えております。  今回の成果指標の案は、2026年までにそのロールモデルとして、株式公開企業1社、または同等の企業価値の企業を複数社創出することを目指しています。このロールモデルによって、県内におけるスタートアップ創出の機運が醸成されるとともに、その過程でエコシステムに必要な知見やネットワークが得られると考えております。
     このために、県では今年度、今後活躍が期待される起業家を公募し、特に突き抜けた起業家をT-Startup(とやまスタートアップ)に認定し、知的財産の活用やベンチャーキャピタルからの資金調達などのファイナンス、販路開拓や上場に向けての計画の策定など、スタートアップが直面するであろう課題についてニーズに応じた専門家を派遣したり、また人材マッチングを行うなど、集中的な支援を実施することとしています。また、T-Startupの情報発信を通じて、創業機運の醸成やネットワーク拡大も図っていきたいと考えます。  スケジュールですが、一般的に上場の手続には最低でも2年はかかると言われておりますので、目標の2年前である2024年度までの3年間で認定したとやまスタートアップを磨き上げ、上場準備を進められるように取り組んでまいります。  案件の発掘に当たりましては、新たにT-Startupサポーターに認定する起業支援を行う事業者のほか、最近、北陸支部を立ち上げられた起業家の組織、EO(アントレプレナーズ・オーガニゼーション)などの民間や市町村と連携を図るなど、様々なネットワークを活用して発掘に当たっていきたいと考えております。  私からは以上です。 100 ◯議長(渡辺守人君)木内厚生部長。    〔厚生部長木内哲平君登壇〕 101 ◯厚生部長(木内哲平君)私からは、まず孤独・孤立の問題についての御質問にお答えをいたします。  長引くコロナ感染症の影響によりまして、様々な不安や悩みを抱える人が増加する一方、交流、見守りの場や相談支援の機会が減少するなど、社会的な孤独・孤立の問題は深刻化していると認識をしております。  こうした中、国では昨年12月に、孤独・孤立対策の重点計画を策定しまして、社会全体で対応するということ、当事者や家族などの立場に立った施策を推進するということ、人と人とのつながりを実感できるための施策の推進、これらを基本理念に掲げるとともに、実態に関する全国調査を行いまして、本年4月に結果が公表されたところです。  県内ではこれまでも、市町村や社会福祉協議会などの関係機関において、孤独・孤立の問題をはじめ、様々な不安や悩みを抱える人への相談支援を通じた支援ニーズの把握やアウトリーチによる実態把握等に努めています。  また、県におきましても、障害者、母子家庭などの支援を要する方を地域の方が支援するケアネット活動や、市町村が世代や属性を問わない相談支援などを一体的に整備する重層的支援体制整備事業を支援しまして、国の重点計画にも掲げられている人と人とのつながりを支援しています。  国では、今年度も同様の全国調査を実施し、継続的な実態把握に努め、施策の推進を検討することとしています。県におきましても、全国調査の結果や国の方針を踏まえつつ、県内の実態把握に努め、市町村や関係機関と連携して、当事者一人一人に寄り添った対策を講じてまいります。  次に、ひきこもりの状態にある人への支援についての御質問にお答えをいたします。  県では、平成24年から心の健康センター内にひきこもり地域支援センターを開設しまして、専任の相談員が、ひきこもりの状態にある人や家族からの相談に対応しています。相談に当たりましては、日頃から当事者にとって身近な窓口として相談や訪問などの対応を行っている市町村や厚生センターなどの担当者と密接に協議、調整をしまして支援に当たっています。  また、令和3年3月からは、センター内に医療や法律、心理、福祉などの専門家から成るひきこもり多職種専門チームを設置しまして、複雑化、長期化した、言わば困難事例への対応について、担当者や家族などに対して専門的な助言を行っています。  さらに、自宅からほとんど出ない状態を脱しまして、地域や社会のつながりを回復する段階にある方に対し、一定の期間、協力事業所に通い、清掃作業やPC作業など本人の能力や希望に配慮した就労体験を通じて、集中力や対人能力などを養い社会復帰を目指す事業を行っています。  このほか、民間団体によるひきこもりの当事者や家族のための居場所づくりなどの新たな取組に対する補助、また、ひきこもり支援に取り組む機関の情報をまとめたパンフレットを作成し関係機関を通じて配布する取組なども行っています。  今後も、市町村や厚生センターなどの支援機関と連携をして、広域的かつ専門性の高い相談支援体制を構築するとともに、民間団体とも連携をして、当事者が必要な支援を受けられる体制づくりに努めてまいります。  次に、生活保護申請についての御質問にお答えをいたします。  県内の生活保護申請件数でございます。令和元年度は623件でしたが、令和2年度は760件と増加をしました。令和3年度は735件でございまして、横ばいないしやや減少というところでございます。また、自立相談支援機関の新規相談件数は、令和元年度は654件でございましたが、令和2年度は1,371件と大幅に増加をし、令和3年度は1,009件とやや減少しています。  県ではこれまでも、必要な方が確実に保護につながるよう、自立相談支援機関と緊密に連携をし、適切な保護の実施に努めています。また、自立相談支援機関では、一人一人の状況に合わせた支援プランの策定により、就労支援や家計改善支援、ハローワークでの求職者支援訓練を行い、利用者の自立を支援しています。  今般の6月補正予算案では、新型コロナの影響による収入減少世帯などを支援するため、生活福祉資金の特例貸付け及び生活困窮者自立支援金の申請期限を延長するとともに、自立相談支援機関の支援員を増員し、就労支援体制を強化することとしています。  今後とも様々な制度の活用、周知をはじめ、市町村や自立相談支援機関などの関係機関と連携し、必要な世帯に支援が確実に届くよう、しっかり取り組んでまいります。  最後に、再犯防止に向けた社会復帰支援についての御質問にお答えをいたします。  市町村における再犯防止推進計画の策定につきましては、県でこれまでも助言や支援を行ってきたほか、昨年8月開催の「ワンチームとやま」連携推進本部会議においても、知事から市町村長の皆様に対して計画の策定を呼びかけたところです。  計画の策定状況は、6月現在、県内市町村のうち8市町で策定済みでございます。策定予定が5市町村、未定が2市町でございます。  また、令和元年度末に策定した県の再犯防止推進計画でも、国、市町村、民間団体などとの連携強化を重点分野として掲げまして、再犯防止の一層の推進のためのネットワークの構築や、市町村や民間団体などに対する連携充実のための支援に取り組むこととしています。  そして、令和2年度から県再犯防止施策推進協議会を設置しまして、情報を共有するなど連携を強化しています。また、市町村職員などを対象とした再犯防止推進セミナーを開催しまして、再犯防止の理解促進と情報共有に取り組んでいるところです。  国でも、今年度中の現行計画の見直しに向けた検討が進められておりまして、その基本的な方向性として、国、地方公共団体、民間協力者の連携をさらに強固にするというふうにされているところです。  県としましては、国の次期計画の改定内容も踏まえ、市町村や民間団体などと一層連携を強化して県の計画を推進してまいります。  以上でございます。 102 ◯議長(渡辺守人君)荻布教育長。    〔教育長荻布佳子君登壇〕 103 ◯教育長(荻布佳子君)私からは、まず、不登校児童生徒の学びの環境づくりについての御質問にお答えします。  不登校児童生徒への支援については、個々の状況に応じて多様な教育機会を確保する必要があり、県教育委員会としても、学校や市町が設置する教育支援センターのみならず、フリースクールなど民間施設と積極的に連携し、協力、補完することが重要だと考えております。  県教育委員会では、不登校児童生徒の学びの支援のため、親子で参加する体験交流活動、家族のためのセミナーや支援研修会を開催しますほか、県総合教育センターに広域訪問指導員を配置し、教育支援センターや不登校児童生徒の自宅を訪問し、個別に学習支援や生活相談などを行っております。  さらに、昨年度からは、学校や市町の教育支援センター、フリースクールなど民間施設の代表を交えた不登校支援協議会を設置し、よりよい連携、支援に向け協議をしております。  また、学校では、教育支援センターや民間施設などを担任などが訪問し、児童生徒の活動の状況や様子について積極的に情報交換を行い、連携を図っております。  県教育委員会としましては、今後、関係機関や民間施設等とのさらなる連携強化が必要と考えており、支援協議会に心理学の専門家などに参画いただくなど、専門的な見地からの意見を基に関係者同士のネットワークを一層深めていきたいと考えております。  さらに、民間施設などにおける活動内容や学校と民間施設との連携の状況などについて情報を集約し、市町村教育委員会や学校に提供するなど、不登校児童生徒一人一人の状況に応じたよりよい教育環境づくりに努めてまいります。  次に、不就学の可能性がある外国籍の子供の現状と対応策についての御質問にお答えします。  令和3年5月時点の国の調査では、本県の外国籍の子供で不就学または不就学の可能性がある者は、合わせて12人となっており、2年前の調査からは41人減少をしております。  2年前の調査では、住民基本台帳に登録されているが就学対象として把握されていない者が、全国で1万人を超えており、本県でも38人でございました。昨年度の調査では、本県でこうした状況はなく、市町村教育委員会では、就学対象となる子供は全て把握されている状況となっております。  市町村教育委員会では、住民基本台帳の担当部署と連携しまして、就学対象者の把握に漏れがないよう情報共有を図っており、不就学及びその可能性のある全ての対象者について、継続的に就学に対する働きかけを行っております。しかし、定期的に住民登録の住所を訪ねたり電話連絡をしたりするものの、保護者が就学を拒否されるというケースや、保護者との連絡が全く取れず状況が確認できないというケースもあるというふうに聞いております。  県教育委員会ではこれまでも、市町村教育委員会の事務担当者が集まる連絡協議会を開催しまして、外国人の就学に関する課題や対応などについて情報共有を図ってきておりますが、さらに、今年度から新たに、市町村教育委員会、小中高校、大学、また外国人の支援を行う関係団体の代表者などで構成する外国人児童生徒教育推進運営協議会を設置しまして、今月中に第1回の会合を開催することとしております。  今後、こうした場での協議を深めますとともに、市町村教育委員会と一層連携し、外国籍の子供の就学状況の把握と支援に努めてまいります。  次に、若者の薬物乱用防止のための啓発についての御質問にお答えいたします。  全国では若年層による大麻事犯が急増しており、学校現場において児童生徒を薬物乱用の危険から守るためには、教職員が薬物に対する理解を深め指導の充実を図りますとともに、児童生徒の発達段階に応じた早期からの指導を徹底する必要がございます。  このため、まず教職員に対しては、毎年、教職員や学校薬剤師などを対象とした薬物乱用防止教室指導者講習会を開催しまして、校内研修を通じ各教職員の指導力向上などに努めております。  また、児童生徒に対しては、薬物が体に及ぼす影響や恐ろしさを理解させるため、小学校ではシンナーなどの有機溶剤、中学校では覚醒剤や大麻、高校ではコカインなどの麻薬を含め、薬物の有害性について授業で指導をしております。特に中学校や高校では、薬物乱用が引き起こす社会問題などについても触れております。  さらに、学校の薬物乱用防止教室では、警察職員や学校薬剤師などを招き、県内の未成年の大麻使用の実態や検挙状況、SNSでの勧誘に対する対処法、また、市販の医薬品も摂取量などによっては危険な薬物となり得ることなどについて学ぶ機会を設け、薬物乱用が児童生徒にとって身近な問題だと認識できるように取り組んでおります。  県教育委員会では、これらの取組を紹介した実践集録を作成しまして、全ての学校に配付もしております。今後とも、学校、家庭、地域、警察など関係機関と連携して、薬物乱用防止教育の充実強化に取り組んでまいります。  私からは最後になりますが、小中高生への起業家教育についての御質問にお答えします。  チャレンジ精神、創造性、探究心などの起業家精神や、情報収集・分析力、判断力、実行力、またリーダーシップ、コミュニケーションといった起業家的資質、能力は、起業家や経営者にとってはもちろん、どのような立場にとっても社会で活躍するために重要でありまして、児童生徒が起業体験を経験することは大きな意義があると考えております。  このため県では、小中学校においては、平成29年から令和元年度の3年間でございますが、国の委託事業を活用しまして、起業体験事業「チャレンジ!起業体験」を実施しまして、3つの中学校区の6つの小中学校が起業体験に挑戦をいたしております。  児童生徒は模擬会社を設立し、地場産業の技術や地元の食材などを使っての商品開発や販売を通じて起業家精神を養いますとともに、自己肯定感や自己有用感を高めたというふうに聞いておりますが、残念ながら、令和2年度以降はコロナ禍のため実施できていない状況でございます。  高校生に対しましては、昨年度から本県ゆかりの国内外で活躍する企業人などを講師に迎えまして、講演や討論により、富山で働くことや起業すること、チャレンジすることなどについて考えるオンラインワークショップを実施しております。また、一部の商業科では実践的な活動として、年間を通して模擬株式会社を生徒が運営しておりまして、中には、商品の受注から製作、納品、決済などのビジネスの一連の流れを、産学官連携により実際に行っている学校もございます。  起業体験は、働くことへの理解を図るとともに、地域への愛着を深め、自分の将来について考える契機にもなるものであり、また、起業家の育成、その拡大にもつながるものでございます。今後も起業体験の意義を深め、取組が進むよう、市町村教育委員会や企業、大学等の関係機関と連携協力しながら、起業家教育の充実に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 104 ◯議長(渡辺守人君)廣島生活環境文化部長。    〔生活環境文化部長廣島伸一君登壇〕 105 ◯生活環境文化部長(廣島伸一君)私からは、犯罪被害者支援における市町村との連携に関する質問にお答えいたします。  県では、犯罪被害者やその御家族の方々などが受けられた被害の早期回復及び軽減を図るため、社会全体で支え、県民が安心して暮らせる社会の実現のため、富山県犯罪被害者等支援条例に基づきまして富山県犯罪被害者等支援に関する指針を定め、きめ細かな支援に努めているところでございます。  県内には現在のところ、犯罪被害者等の支援を目的とした条例を制定している市町村はございません。ございませんが、県の条例に基づき設置しました富山県犯罪被害者等支援協議会には、県の市長会や町村会に参画いただきまして御意見をいただけるようにしております。さらに、指針に基づき県が実施します全市町村の公共施設における巡回パネル展の開催や犯罪被害者週間広報キャンペーンにおける広報啓発活動につきましては、市町村と連携して実施しているところでございます。  また、県の条例におきましては、県は、市町村の犯罪被害者等支援施策等に対し、情報提供や助言、必要な協力を行うとされていますことから、県では、市町村の各種相談窓口担当者を対象とした研修会や他の自治体の取組状況の提供を行っております。  市町村は犯罪被害者の方や家族の方々にとって身近な相談窓口でもありますことから、県としては、今後とも研修会の場などを活用し、市町村と意見交換や情報共有を行い、犯罪被害者の支援の充実を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 106 ◯議長(渡辺守人君)市井土木部長。    〔土木部長市井昌彦君登壇〕 107 ◯土木部長(市井昌彦君)港湾行政について2点いただいた御質問のうち、まず、伏木富山港カーボンニュートラル計画についての御質問にお答えします。  本県では、国に先駆け、令和2年3月にとやまゼロカーボン推進宣言を行い、温室効果ガスの排出削減に取り組んでおります。また、国土交通省においても、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、国際物流の結節点、産業拠点となる港湾において、温室効果ガスの排出を全体としてゼロとするカーボンニュートラルポートを形成していくことが、令和3年6月に打ち出されたところです。  これらを受け、県が管理する伏木富山港においても、脱炭素社会の実現に貢献するため令和5年度末を目途にカーボンニュートラルポート形成計画を策定することとし、現在、検討を進めております。  カーボンニュートラルポートの実現には、議員触れられましたとおり、荷役機械や大型車両を含めた港湾オペレーションの脱炭素化をはじめ、臨海部立地産業と連携した港湾地域における面的な取組が重要であると考えています。このため、港湾管理者である県のほか民間事業者、国、関係市等で構成する検討協議会を設置し、本年2月に第1回協議会を開催したところです。  今後、年に数回程度の協議会を開催し、令和4年度は温室効果ガス排出量の調査、推計等を行い、令和5年度は温室効果ガス削減目標を設定し、計画を策定したいと考えております。  協議会では、カーボンニュートラルポート形成計画策定後においても定期的に脱炭素化の取組状況を確認するとともに、必要に応じて柔軟に形成計画を見直せるよう、いわゆるPDCAサイクルを回す体制を構築していきたいと考えております。  次に、港湾計画の改訂についての御質問にお答えします。  伏木富山港の港湾計画は、将来の計画貨物量に大幅な変更が見込まれたことなどから、平成11年に港の方針と能力の全体的な見直しを行う港湾計画の改訂を行っています。その後、耐震強化岸壁や臨港道路の整備など、新たに必要となった事項に迅速に対応するため、随時、港湾計画の部分的な変更である一部変更などを機動的に行ってきており、直近では令和2年3月に実施したところです。  現在、県ではカーボンニュートラルポート形成計画の策定中であり、策定後、実現に向けた取組を進めることとしているため、将来、港湾計画を改訂する際には、このことを反映できるよう検討したいと考えています。  一方で、ロシアのウクライナ侵攻による中古車輸出などのロシア関連貨物への影響、伏木富山港の取扱貨物量の約4割を占める石油や石炭などエネルギー関連貨物へのカーボンニュートラルの取組による影響、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴うサプライチェーンの見直しによる影響など、社会的不安定要素が多く、伏木富山港における今後の貨物量の動向は、依然非常に不透明な状況にございます。  県としましては、議員御指摘のとおり、現計画は改訂から長期間が経過しているものの、引き続き社会情勢の変化等を注視しながら対応について検討してまいりたいと考えております。  以上です。 108 ◯議長(渡辺守人君)以上で酒井立志君の質問は終了しました。  以上をもって本日の一般質問、質疑を終了いたします。  次にお諮りいたします。  議案調査のため、明6月10日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 109 ◯議長(渡辺守人君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  以上で本日の日程は終了いたしました。  次回の本会議は6月13日に再開し、各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  本日はこれをもって散会いたします。  午後4時01分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...